No.87 意識とイメージで運動パフォーマンスは上がるのか?

競技力向上

意識の持ち方・捉え方によって、
運動パフォーマンスが変化することがあります。

例えば、
立ち幅跳びジャンプをするとき

①自分の身体(関節)の動きを意識(内的意識)
②跳ぶ目標物への意識(外的意識)

この2パターンの意識で「実際の跳んだ距離」が変わる。
というコトが多く研究されています。

内的な意識とは、
Internal Focus(インターナル フォーカス)

外的な意識とは、
External Focus(エクスターナル フォーカス)

と日本語訳されます。

今回の記事では、
どういった意識の持ち方が運動能力に影響するのか?
という点について、研究論文を基に紹介していきます。

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結論

①外的な意識(External Focus)によって、多くの運動パフォーマンスが向上されている。

②内的な意識(Internal Focus)によって、瞬間的な運動パフォーマンスが向上したとされる研究は無さそう。(私は見つけられていない)

③もともと高度なパフォーマンスを持つ人には、外野が言う外的注意も内的注意も「パフォーマンス低下」させる可能性が高い。

④外的な意識(External Focus)によって、筋電図(EMG)の活動が低下する傾向にある。

⑤スポーツトレーニングにおいて長期的な意識注意(フォーカス)を研究した論文は少なく、効果は分かっていない。


論文紹介

ジャンプ力の実験

The Influence of External Focus Instruction Characteristics on Children’s Motor Performance.
著者:Marchant DC
公開日:2018年9月26日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30257136

・子どもが実験の参加者。
・実験①:44名(男性23名/女性21名)平均年齢7歳
・実験②:54名(男性24名/女性30名)平均年齢8歳
・どちらの実験でも「外的な意識注意」によってジャンプの到達点が向上しました。


Standing Long Jump Performance With an External Focus of Attention Is Improved as a Result of a More Effective Projection Angle
著者:Ducharme, Scott Wら
公開日:2016年1月
https://journals.lww.com/nsca-jscr/fulltext/2016/01000/Standing_Long_Jump_Performance_With_an_External.32.aspx#R11-32

・21名(男性10名/女性11名)が実験に参加しました。
・参加者は普段トレーニングを受けていない人たち。
・外部フォーカスによってジャンプ力の向上が見られました。


ジャンプ力効果と筋電図(EMG)を調べた実験

Increased jump height and reduced EMG activity with an external focus.
著者:Wulf Gら
公開日:2010年4月21日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20409600

・外的な意識によって、「ジャンプパフォーマンス」の向上が見られました。
・さらには、筋電図(EMG)を検出した結果(前脛骨筋/大腿二頭筋/外側広筋/大腿直筋/腓腹筋)
これらのEMG活動が「外的意識」では低下していたことが分かりました。


アームカールでの筋電図(EMG)を調査

EMG activity as a function of the performer’s focus of attention.
著者:Vance Jら
公開日:2004年12月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15695233

・アームカール運動中の上腕二頭筋の筋電図を調査しました。
・外部フォーカスでは、握っているバーの動きに注意を向け、
・内部フォーカスでは、自分の腕の動きに注意を向けました。
・結果としては、外部フォーカスの方が明らかに「アームカール運動の動きが速くなった」という。
・さらには筋電図(EMG)は外部フォーカス時に低下を示したという結果でありました。


ランニング(走る)パフォーマンスの実験

Thinking Outside the Block: External Focus of Attention Improves Reaction Times and Movement Preparation Times in Collegiate Track Sprinters
著者:Attila J. Kovacsら
公開日:2018年10月19日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6316484/

・12名(男性4名/女性8名)の大学生(平均年齢20歳)陸上短距離アスリートが実験に参加しました。
・トラックスプリントでのスタート反応時間を比較する実験でした。
①外部フォーカス(スターティングブロックを押すことに集中)
②内部フォーカス(膝を伸ばすことに集中)
③Noフォーカス(意識の指示は無し)
・この3つの群で比較調査。結果としては、外部フォーカスで明らかにリアクションタイムが速かった。


Experience level influences the effect of attentional focus on sprint performance.
著者:Winkelman NCら
公開日:2017年2月6日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28182969

実験①:17名(男性のみ)大学生サッカー選手が実験に参加しました。
・10m最大努力の短距離走を実施。
・外部フォーカス群(地面を爆発的に後退させること)
・内部フォーカス群(自分の足を可能な限り爆発的に動かすこと)
・コントロール群(指示なし)
この3つでパフォーマンスに変化があるのかを比較しました。
・内部フォーカスでは有意に「遅かった」
・外部フォーカスと指示なしでは、同様のタイムでした。

実験②:13名(男性7名/女性6名)平均年齢28歳の経験豊富な陸上短距離選手が実験に参加しました。
・実験手順と方法は上記の「実験①」と同様に実施されました。
・内部フォーカス/外部フォーカス/指示なし
この3つでのタイムの違いは見られませんでした。


水泳選手のパフォーマンス実験

Does the Attentional Focus Adopted by Swimmers Affect Their Performance?
著者:Isabelle Stoateら
公開日:2011年3月1日
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1260/1747-9541.6.1.99

※2019年12月6日現在、フルテキストは閲覧できておりません。スミマセン!

・水泳選手が実験に参加。
・クロール泳で25ヤードを3回泳ぎました。
・外部フォーカス(水を押す)
・内部フォーカス(手を引く)
・コントロール(指示なし)
この3回での比較。
・結果は、内部フォーカス意識をした場合が明らかに「遅かった」
・外部フォーカスと指示なしでは、同様のタイムとなりました。
・すでに高いスキルを持っている選手では、外部フォーカスの指示も不要なのではないかと締めくくられていました。


バランスパフォーマンスの実験

Effects of external focus of attention on balance: a short review
著者:Sun Hee Park
公開日:2015年12月28日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4713821/

・バランスに関する、18の研究論文を調査。
・そのうち15の論文が「外的な意識や注意」によって効果が見られたとされました。
・2つの論文では、外的・内的に効果の差は無かったとされた。
・残り1つの論文では、トップレベルのアクロバットパフォーマーでの実験でした。
・この実験では、外的・内的の意識注意ではパフォーマンスの向上が見られず
「指示なし」が一番効果的であるという結論となりました。


まとめ

今記事をまとめていて、
外的・内的に関わらず、
私の感想としては「やっぱり、言葉やイメージが影響を少なからず与えているんだな」という
きわめて当たり前のことを強く再認識させられました。

その上で、どういった場面でどういった意識を持つべきなのか。
または意識を持たないべきなのか。という点について深く考えるキッカケとなりました。

現状、私が指導現場で具体的に伝えていることとしましては

・技術的な動作の獲得を目指すプロセス⇨内的意識(インターナルフォーカス)
・パフォーマンスを発揮する場面⇨外的意識(エクスターナルフォーカス)

というように考えています。
もちろん、どちらか一方だけということではなく。
どちらも行き来をしながら、螺旋階段的に向上させていきたいものです。

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