No.68 【競技者向け】筋肉グリコーゲン回復のための栄養摂取

栄養学

アスリートにとって、「疲労からの回復」というのは重要な課題の一つであると思います。

運動による「疲労のメカニズム」は完全に解明されていません。
活性酸素・無機リン酸や水素イオンの蓄積・筋グリコーゲンの低下・脱水状態・筋肉の損傷・脳(中枢性)疲労などなど。様々な要因が指摘されています。

今回の記事では、疲労からの回復という課題の中でも大きく取り上げられている
「筋グリコーゲンの回復」についてまとめます。

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はじめに

運動のエネルギーについてを簡単に説明いたします。

運動する(筋肉が収縮する)ためには「ATP」というエネルギーが必要です。
そのATPというのは、安静時でも少しは貯蓄されています。

例えば

200mを全力疾走する場合、速い人ですと約20秒で走ります。(2019年現在の男子日本記録は20秒03)

20秒間、体を動かし続けるためにATPを作り出す必要があります。
ほんの少しだけ貯蓄されているATPも使われますが、この場合
【解糖系】というシステムが主に働きます。

解糖系は、糖質(グルコース)を使って「ATP」を作り出します。

この糖質は、筋肉にグリコーゲンという形で貯蓄されています。これを筋グリコーゲンと言います。
運動するときは、筋肉からグリコーゲンを取りだしてATPを作ります。

つまり

運動を繰り返していくと
筋肉からグリコーゲンが消費され、どんどん減っていくことになります。
これによって疲労すると考えられています。

※解糖されてエネルギーが作られたあとに「乳酸」という物質が出てきます。21世紀に入ってから、乳酸は悪者ではなく、むしろ疲労回復に役立つ物質だということが分かってきました。

そもそも、運動疲労から回復するために糖質の摂取は効果はあるのか?

持久運動後に糖質を摂取して、再び持久運動を実施した比較実験があります。
低糖質群「体重1kgあたり糖質0.3g(1時間)」と高糖質群「体重1kgあたり糖質1.2g(1時間)」との比較です。
(筋グリコーゲン枯渇運動後の4時間を調査)

高糖質群で運動パフォーマンスが回復しました。

著者:Alghannam AFら
公開日:2016年1月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26197030/

筋グリコーゲン回復に関する「論文紹介」

「体重1kgあたり糖質0.8g(1時間)」と「体重1kgあたり糖質0.8g&タンパク質0.4g(1時間)」との比較実験①

糖質のみ摂取群と比べて、糖質&タンパク質の同時摂取群のほうが有意に筋グリコーゲン回復が見られました。(筋グリコーゲン枯渇運動後の5時間を調査)

※運動はサイクリングが用いられました。

著者:van Loon LJら
公開日:2000年7月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10871568/

「体重1kgあたり糖質0.8g(1時間)」と「体重1kgあたり糖質0.8g&タンパク質0.3g(1時間)」との比較実験②

上記の実験と同様の手順で進められました。
インスリン濃度は、糖質&タンパク質の同時摂取群の方が有意に高かったことが分かりました。
しかし、糖質のみ摂取と比べても、筋グリコーゲン回復の時間に差はありませんでした
(筋グリコーゲン枯渇運動後の4時間を調査)

糖質&タンパク質摂取群では、運動中に糖質を酸化される量が多くなることが見られました。
これは、疲労するまでの時間を延長するかもしれないことが考えられます。

※運動はトレッドミルでのランが用いられました。

著者:Betts JAら
公開日:2008年5月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18408607/

「体重1kgあたり糖質0.8g&タンパク質0.4g(1時間)」摂取群と「体重1kgあたり糖質1.2g(1時間)」摂取群との比較実験

「糖質&タンパク質の摂取」群は、「糖質のみ摂取」群と同様に、
筋グリコーゲン回復が見られました。回復までの時間も差はなかったとされています。

(筋グリコーゲン枯渇運動後の4時間を調査)

※運動はトレッドミルでのランニングが用いられました。

著者:Alghannam AFら
公開日:2016年12月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27097042/

170の研究を引用して、糖質とタンパク質の同時摂取についての実験をまとめた論文

詳しいメカニズムは明らかとなっていませんが、
糖質とタンパク質の同時摂取は、糖質のみ摂取と比べても同様の効果があることが述べられています。(カロリーが等しい場合)
より効果的な摂取量、または効果が無い摂取量などをさらに調査していくことが課題となります。

著者:Abdullah F. Alghannamら
公開日:2018年2月23日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5852829/

まとめ

運動によって失われた筋グリコーゲンを回復するために、
糖質を摂取することは明らかにパフォーマンスの回復が認められています。

筋グリコーゲンが多く減少するような運動を実施した後に、
2時間間隔と比べて、30分間隔で「糖質」を摂取したほうが回復が早まったという報告があります。(5時間以内の調査)

回復するために、より多くの糖質を摂取すれば良いわけではありません。
多くのアスリートが、体重増によってパフォーマンスに好ましくない影響があるでしょう。

実施した運動が、どの程度「カロリー消費」したのかを把握するのは困難です。
体重の増減をチェックしながら、摂取カロリーを計算して回復を最大化させてほしいと思います。

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