No.69 運動のエネルギー供給システムについて

生理学

前回の記事で、運動するときに必要なエネルギー「ATP」という言葉について触れました。

今回の記事では、「ATP」を作り出す【エネルギー生産システム】についてまとめます。
アスリートに皆さんにとっても必須な基礎知識です。取り組んでいるトレーニングへの理解も深まるかと思います。
教科書的な内容になることが予想されます…。

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エネルギー生産システム

①ホスファゲン系(別名:ATP-PCr)

PCr(クレアチンリン酸)を用いて「ATP」が作られます。

・クレアチンリン酸⇨ATP
・ADP+ADP⇨ATP+AMP

※クレアチンリン酸からATPが生産されます。ADPという物質からATPを生産するシステムもあります。

②解糖系

糖(グルコース)を用いて「ATP」が作られます。

・糖⇨ピルビン酸⇨(糖分解の量が少ない場合)⇨アセチルCoA
・糖⇨ピルビン酸⇨(糖分解の量が多い場合)⇨乳酸

※糖からピルビン酸へ分解されるときにATPが生産されます。

※乳酸については別の機会に取り上げたいと思います。

③ミトコンドリア系(別名:酸化系)

糖・脂質を用いて「ATP」が作られます。

・糖⇨ピルビン酸⇨アセチルCoA⇨ミトコンドリアへ
・糖⇨ピルビン酸⇨乳酸⇨ミトコンドリアへ
・脂肪をβ酸化(ミトコンドリア)

※ミトコンドリア以降でATPが生産されます。

エネルギー供給の時間(速度)的な特徴

①ホスファゲン系(別名:ATP-PCr)

爆発的エネルギーシステム

稼働時間:0〜6秒
減衰時間:約1.3秒あたりから

②解糖系

高強度エネルギーシステム

稼働時間:3〜60秒
減衰時間:20〜30秒あたりから

③ミトコンドリア系(別名:酸化系)

持久的エネルギーシステム

稼働時間:3秒〜
減衰時間:9秒程で生産ピーク値となり減衰はあまり見られない。

全力運動の時間別システム稼働【割合】

Aerobic=好気性エネルギー=上記システム③=酸素が介在する過程≠有酸素
Anaerobic=嫌気性エネルギー=上記システム①と②=酸素が介在しない過程≠無酸素

【12秒】⇨好気性エネルギー(1):嫌気性エネルギー(9)

【20秒】⇨好気性エネルギー(2):嫌気性エネルギー(8)

【30秒】⇨好気性エネルギー(3):嫌気性エネルギー(7)

【45秒】⇨好気性エネルギー(4):嫌気性エネルギー(6)

【75秒】⇨好気性エネルギー(5):嫌気性エネルギー(5)

【2分】⇨好気性エネルギー(6):嫌気性エネルギー(4)

【3分】⇨好気性エネルギー(7):嫌気性エネルギー(3)

【4分】⇨好気性エネルギー(8):嫌気性エネルギー(2)

※hari-sports YY まとめ(参考論文より)

まとめ

エネルギー回路を認識して、
普段のトレーニングに取り組むことを推奨しています。練習に対する理解度が高まり「練習の質」が向上するかもしれません。

指導者であれば、トレーニング作成に対する「指標」となります。
目の前の選手が、その練習に取り組む際の「目安や根拠」となるでしょう。

私としても、キチンと内容を理解して落とし込み
取り組む選手たちがムダな方向へ苦しむことの無いように、練習を構成していきたいという思いです。

参考論文

In vivo ATP synthesis rates in single human muscles during high intensity exercise
著者:Glenn Walter
公開日:1999年9月15日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2269548/

Energy system interaction and relative contribution during maximal exercise.
著者:Gastin PB
公開日:2001年8月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11547894

Energy system contribution during 200- to 1500-m running in highly trained athletes
著者:Spencer MRら
公開日:2001年1月
https://journals.lww.com/acsm-msse/Fulltext/2001/01000/Energy_system_contribution_during_200__to_1500_m.24.aspx

Interaction among Skeletal Muscle Metabolic Energy Systems during Intense Exercise
著者:Julien S. Bakerら
公開日:2010年12月6日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3005844/

Anaerobic Contribution Determined in Swimming Distances: Relation with Performance
著者:Eduardo Z. Camposら
公開日:2017年10月10日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5641383/

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