【競泳練習メニュー】トレーニング強度の割合を長期にわたって調査

多くのスポーツ選手が、冬季トレーニングといえば「量的な追い込み」時期を迎えるのではないでしょうか。

競泳競技では、年末年始といえば「泳ぎこみ!」というチームがほとんどかと思われます。

ガンガン泳いで、量的な追い込みを実施しているのは日本だけなのでしょうか?

今記事では、海外(フランス)の競泳選手を対象にした調査論文をご紹介いたします。

引用させていただいた論文中では、トレーニング強度を【乳酸値】で表現していました。

目次

論文紹介

題名:Elite Swimmers’ Training Patterns in the 25 Weeks Prior to Their Season’s Best Performances: Insights Into Periodization From a 20-Years Cohort
著者:Philippe Hellardら
公開日:2019年4月10日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6470949/

目的:エリート水泳選手のトレーニング内容を調査

方法:127名の競泳選手を20年に渡って調査した。

127名のうち男性60名、女性67名。年齢は15〜30歳。

50m専門4名、100m専門42名、200m専門52名、400m以上専門29名でした。

結論:競泳選手のトレーニング強度(乳酸濃度)の割合は、他の持久的スポーツよりも偏ったものであった。

短距離選手〜長距離選手までトレーニング強度をまとめると

✅低強度(4mmol/L以下)約86~90%

※うち2mmol/L以下が半分量

✅高強度(6mmol/L以上)平均4~5%

水泳選手のトレーニングは、
2〜4mmol/Lのトレーニング強度で、「技術的なトレーニング」を実施している可能性が考えられます。


私見まとめ

他の競技と比べて、水泳(競泳)は低強度(乳酸値4mmol/L以下)でのトレーニング量が多いという結果です。

フランスだけではなく、おそらく日本の多くの選手たちでも同様です。

なぜ、多くのトップスイマーは低強度でのトレーニングが多いのか?
その低強度トレーニングでは何を目的としているのか?

ここの「考え」を深めることが大切だと感じます。

トレーニング指導者・選手それぞれによっても考えは異なると思いますが、

私は、低強度のトレーニングでは【技術の向上】を狙いとしたものであると考えています。

※論文中でも少しだけ触れられています。

つまり、【技術の向上】を狙いとしたトレーニングが結果的に低強度トレーニングとなっている。

言い換えれば、高強度のトレーニングでは【技術の向上】は難しい。ということが考えられますし、実際に指導現場にいる私自身はそのように感じています。

いわゆる「LT値」付近〜以下でのトレーニング強度が

【技術の向上】を促進しやすいのだと感じます。

そして、低〜中強度で高めた「技術」を高強度での運動時に確認していくという順番。

量(距離)的な追い込みは必要か?

【技術向上】という目的が達成されるのであれば、低強度での量(距離)的な追い込みは必要ではない。と言えるでしょう。

さて、【技術の向上】そして【技術の定着】を達成するためには何をすれば良いのでしょうか?

ココが、選手と指導者の「腕の見せ所」でしょう。

私は、体で覚えてもらう手法と並行して

動作に対する解剖学的な理解や脳の可塑性などの知識面からのアプローチも取り入れています。

限られた時間と環境を上手く使って行きたいものです。

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