今記事では、筋力トレーニングの一つの種目である「パワースナッチ」についての動きを分解したものを紹介したものとなります。
「なぜ動作を分解して理解しようとするの?」と問われれば、以下のように考えます。
「どこがうまくいっていて、どこが問題なのか」を見つけて改善するため。
感覚だけでなんとなく判断すると、成功や失敗の要因が見えなくなります。
でも、動きを分けて見れば、修正ポイントがハッキリし、練習への取り組みが一気に上がるはず。
つまり、動作の分解は「技術を再現させるための地図」になります。
パワースナッチを5つに分解してみよう
パワースナッチとは、
スナッチよりも、バーベルを高く上げて、深くしゃがみ込まずにキャッチをする運動。
しゃがむ深さは、股関節が膝関節よりも高くなることを指す。

第1段階(ファーストプル)
バーベルが床から離れる瞬間から、最大膝関節”伸展”までの期間を指す。

第2段階(トランジション)
最大膝関節”伸展”から、最大膝関節”屈曲”までの期間を指す。

第3段階(セカンドプル)
最大膝関節”屈曲”から、最大膝関節”伸展”までの期間を指す。

第4段階(ターンオーバー)
最大膝関節”伸展”から、バーベルが最高地点へ到達するまでの期間を指す。

第5段階(キャッチ)
バーベルの最高地点から、キャッチポジションで安定するまでの期間を指す。

参考文献:Biomechanical analysis of the snatch technique for elite and varsity weightlifters
参考文献:Effects of Expertise on Muscle Activity during the Hang Power Clean and Hang Power Snatch Compared to Snatch and Clean Pulls – An Explorative Analysis
参考文献:Comparative 3-dimensional kinematic analysis of snatch technique between top-elite and sub-elite male weightlifters in 69-kg category
私見まとめ
「なぜ、うまくいかないのか」が言語化できないまま、ひたすら繰り返してしまう。
泳ぎが崩れる。
でもなぜ崩れたのか、わからない。
力を入れたのに、スピードが出ない。
私たちはときに、「努力はしているのに、結果が出ない」そんな状況に苦しみます。
ウエイトリフティングのスナッチも同じだね。
バーが前に流れる。上手くしゃがみ込めない。キャッチが不安定。
「なぜそうなったか」がわからなければ、何度繰り返しても同じ失敗を繰り返すだけよ。
「わからない」を突破するためのヒントになるのが、バイオメカニクス(動作の力学的理解)の役割だね。
動作の分解は「技術の再現性」を高めるため
感覚的にやっているつもりの動作を、構造で理解できたとき、はじめて”再現性”が生まれる。
指導者側にも”構造的な評価”が必要だね。
スポーツ指導の現場でありがちなのが、「調子いいね」「今日は崩れてるね」という感覚ベースの評価。でも、選手はそれでは「どう修正するか」を理解できない。
「感覚のズレ」を力学で照らし合わせられれば、修正への道が開けるはず。
逆に、基礎的なバイメカを知らないと、技術の成長は「運ゲー」になっちゃう。
それでは、”再現性”のある技術は身につきません。
みんなで一緒に勉強していこ。