アスリートにとって、「自分の体を思った通りに動かす」能力は極めて重要です。
競技動作の中で、正確で効率的な動きを実施することは、より良い結果に直結する要素の一つです。
この能力、つまり固有感覚と呼ばれる「自分の体の位置感知能力」は、パフォーマンスだけでなくバランス能力や怪我の予防にも深く関わっています。
アスリートが常に最高のパフォーマンスを発揮し続けるためには、固有感覚を高めるトレーニングが欠かせません。
では、固有感覚とは具体的になんやねんってことを書いていきます。
まずは、用語の整理
体性感覚
「皮膚感覚」と「固有感覚(深部感覚)」の2種類からなる感覚システムを指します。
皮膚感覚
皮膚表面の感覚で、触覚や圧覚、痛覚、温度覚などがあります。
固有感覚(深部感覚)
筋肉や関節や腱などにある感覚受容器によって提供される情報に基づく感覚です。自分の身体を感じる感覚。
固有感覚は、体の部位の位置や動きを感知する能力であり、「体性感覚」の一部です。
関節の角度や筋肉の収縮や腱の伸長をとらえ、体のどこにどのような運動が生じて、どの程度力を入れているかを無意識にコントロールしています。
研究論文の紹介
固有感覚トレーニングのシステマティック・レビュー
【目的】
固有感覚トレーニングがスポーツおよびアスリートのパフォーマンスに与える影響を調査した論文。
【内容】
システマティック・レビュー論文
【結論】
固有感覚トレーニングは、身体能力、バランス能力、爆発的な力、速度、敏捷性、姿勢の安定性、膝関節の位置覚、筋肉の活性化、慢性的な関節不安定性の軽減、ドリブル、パス、ボールコントロールの技術など、アスリートのパフォーマンスの様々な側面にポジティブな影響を与えることが明らかになりました。
足首(足関節)不安定な症状を抱える集団
【内容】
足関節の不安定性を抱える50名のレクリエーションアスリートが実験に参加。
【結論】
6週間の不安定な状態でのトレーニング群では、バランス能力の向上が認められた。
トレーニングの一例
みなさん、【固有感覚トレーニング】について、なんとなく想像できましたでしょうか?
選手が抱える「課題」に対して、筋トレする?バイク漕ぐ?固有感覚トレーニングする?って感じに洗濯していくと良いでしょう。
さらに読者の皆さんに想像力を働かせてもらうために、いくつか動画を載せておきます↓
今までのトレーニングの常識に一味追加する必要があるかもね
いわゆる「筋トレ」と言えば、筋力や持久力の向上が主眼でしたが、固有感覚トレーニングの導入により、運動の精度や効率性を高め、怪我のリスクを低減する可能性があります。
アスリートやコーチは、こういったアプローチを取り入れることで、さらなる競技力の向上を図れるかもしれませんね。
☑️ウエイトトレーニングによっても、関節の固有感覚(位置覚)の向上効果を期待できるよ↓
私見まとめ
固有感覚トレーニングは、「自分の体を思った通りに動かす」能力や、体の位置や動きを「感知する」能力を向上させることで、アスリートのパフォーマンス向上に貢献します。
われわれ指導者は、見た目の派手さや流行だけにとらわれず、その「本質」を認識するように努めましょう。
より効果的なトレーニング指導が可能になるはずです。
アスリートや競技コーチも、固有感覚トレーニングの本質を見極め、その価値を最大限に引き出す方法を学ぶことが求められます。
常に勉強やね。
入力と出力について
少しややこしい内容かもしれないので、今記事の最後に書き残しておきます…
体における「入力」とは
それぞれの受容体から受け取られた情報伝達そのものを指します。
フィードバックと言い換えてもいいかもしれません。
体における「出力」とは
神経系から筋肉へ指令がいき、結果として関節(骨)が動く。これを出力と言います。
体を動かすためには、出力する必要があります。
固有感覚トレーニングは?
こういった意味で、固有感覚トレーニングは「入力」に重きを置いたトレーニングであると言えるでしょう。
逆に、筋力や持久力の向上を目指したトレーニングは「出力」に重きを置いたトレーニングであります。
しっかり認識して取り入れていこ\( ˆoˆ )/
さらに余談(治療家としての入力と出力)
ほんとに、話があっちこっちに行ってしまって申し訳ない。最後に、治療家としても誰かのヒントになればと思いますので、これでおしまい。
例えば、治療家やコンディショニングトレーナーとして、人の体をケア施術する際は「絶えず入力と出力を繰り返す」ことが大切です。
人の体に触れて、様々な状態を把握(入力)しながら施術(出力)をしていく。触れて分かる状態からだけでなく、視覚や聴覚からの入力もしっかりと活かす。
自分の独りよがりな「出力オンリー」なトレーナーさんは、気づかれてるわよw
私も偉そうなこと言えんけどもw