下肢左右差の改善に効果的なトレーニングとは?プライオメトリックトレーニングについて考えてみよう

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「身体の左右差が気になる!」

スポーツの現場ではよく耳にします。
しかし、アスリートの競技パフォーマンスにおいては、”左右が対称=最適”とは限りません。

パフォーマンスを向上させるために、何を選択すべきか?
手段と目的を立ち止まって考えつつ、その上でより良いと思える道を歩んでいきたい!

今記事では、片脚プライオメトリックトレーニングに関する研究(メタ分析)を紹介しつつ、「なぜ効果的なのか?」という部分への考えを巡らせてみたいと思います\( ˆoˆ )/

みんなも一緒に考えるプロセスを歩んでみてね〜。

目次

読者に伝えたいこと

この記事を通して伝えたいことは、次の3点。

① 「効果があった」研究結果でも、対象と文脈を無視するとダメよ
② 「左右差がある=悪」という単純な思い込みを捨てるべきよ
③ エビデンスは数多くある手段の一つ。進むルートは、現場で自分の目で選ぶのよ

トレーニング理論に「正解」はありません。
あるのは、「目の前の選手にとって最適な道」を探し続ける姿勢だけです\( ˆoˆ )/

論文紹介

題名:Unilateral plyometric training effectively reduces lower limb asymmetry in athletes: a meta-analysis
著者:Wei Sunら
公開日:2025年4月9日
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12014563/

今回紹介するメタアナリシスの要点は次の通りです。

論文結論

片脚プライオメトリックトレーニングは、選手の下肢左右差を効果的に改善できることがわかった。
一方で、両脚のトレーニングやコンプレックス(複合的)トレーニングは、左右差の改善には明確な効果が見られなかった。

研究内容

今回のメタ分析に含まれた8本の研究のうち、大部分は2020年以降に発表されたものでした。対象となった研究では、主にサッカー、テコンドー、バスケットボールに取り組むアスリート157名が参加していました。各研究では、プライオメトリックトレーニングとコンプレックストレーニングの両方が検討されており、ほとんどのエクササイズは片脚で実施されていました。介入期間は8〜10週間で、介入頻度は週に1〜2回でした。

対象となったのは、ジャンプ系のパフォーマンステスト(片脚カウンタームーブメントジャンプ:SLCMJ、片脚立ち幅跳び:SLBJ、片脚片足3連続ジャンプ:SLH3Jなど)における下肢の左右差の変化を調べた研究論文です。

分析の結果、片脚プライオメトリックトレーニングは、ジャンプの方向性とトレーニングの刺激方向が一致しているため、特に下肢左右差の改善に効果が高いことがわかりました。また、プライオメトリックトレーニングは地面接地時間が短く、瞬発力(RFD:Rate of Force Development)の向上にも貢献していました。
一方、コンプレックストレーニングは、多方向の筋力トレーニングとジャンプトレーニングを組み合わせるため、刺激が分散し、下肢左右差への改善効果は限定的であることが示されました。特に、連続ジャンプ動作を要求されるSLH3Jでは、どちらのトレーニングでも明確な改善効果は見られませんでした。

私見まとめ

下肢の左右差を改善するための手段としては、「片脚プライオメトリックトレーニング」が効果的かもしれないということが分かりましたね。

では、なぜ「片脚プライオメトリックトレーニング」が効果的なのか?というのを考えてみようと思う。

私が考えた理由は大きく2つ。みんなも良い考えがあったら教えてね!

・片脚での運動だから、弱さを認識しやすいため
・プライオメトリック運動だから、神経-筋の適応が早かったため

片脚での運動だから、弱さを認識しやすい

片脚でジャンプや着地を繰り返すと、当然ながら左右の脚を個別に鍛えることになります。

弱い側の脚はより強化され、強い側の脚は過剰に鍛えすぎないという自然なバランス調整が起きやすく、結果として左右差が改善されたんじゃね!と考えられます。

左右差が生まれる背景には、筋力や柔軟性のアンバランスだけでなく、左右それぞれの脚で「力を正しく出す感覚」がズレていることが多くあるように感じることが多々あるよ。

プライオメトリック運動だから、神経-筋の適応が早い

爆発的(プライオメトリック)動作では「弱さ」があからさまに出やすい。ジャンプや素早い動作では、弱い脚はすぐに力不足が露呈しがち。

上記1と同様なんですが、普通の筋トレだとフォームを崩しながらでもなんとなくできてしまう。プライオメトリックでは、弱点を意識しやすく、適切に刺激できた=左右差の改善につながりやすいのかなと考えられる。

プライオメトリックトレーニングでは、左右それぞれの脚に対してダイレクトに負荷がかかり、瞬間的な力発揮の質を繰り返し求められるため、単純な筋力トレーニングだけでは得られない神経系の最適化が進むのかな。

さいごに

アスリートのトレーニングでは、「左右差をなくす」こと自体がゴールではないことがほとんどかと。
そもそも人間の身体は、完全に左右対称ではありません。

「パフォーマンスに影響がどの程度ありそうか?」という点と、「ケガや故障につながる悪影響がありそうか?」という点をしっかり見極めたいですね。

当たり前だけど、トレーニングに使える時間は有限です。トレーニングを設計する前に、必ず自問していきたい。

ついつい、手段と目的がごちゃごちゃになってしまいがちだからね。

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