なぜ同じ練習を続けると伸びなくなるのか? 特異性を活かして停滞を抜け出すトレーニング設計

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競技力向上を目指すアスリートの皆さん、日々のトレーニングで「なんとなく量を追いかける」練習メニューをこなしていませんか?

スポーツのトレーニングには「特異性の原理」というものがあります。
これは、トレーニングの効果は『与えた刺激に対して特異的に(その動作や負荷に応じて)現れる』という基本原則です。つまり、自分の目的にピッタリ合ったトレーニングを選択しなければ、狙った能力は効率よく伸びていかないよ、ということです。

今記事では、そんな「トレーニングの特異性」について、3つの研究論文を引用しながら考えを巡らせていきたいと思います。

そして最後には、特異的なトレーニングばかりやっていると必ず訪れる「頭打ち」をどう乗り越え、螺旋階段的に能力を向上させていくか?という視点(複合的なトレーニングやコンカレントトレーニングの重要性)についてもお伝えできればと思います。みんなで一緒に「トレーニングの特異性」について考えてみましょう。


目次

論文紹介①:片側トレーニングと両側トレーニングの特異性

題名:Comparative effects of unilateral versus bilateral training on performance adaptations: a systematic review and multilevel meta-analysis
著者:Xianyang Xinら
公開日:2026年7月16日
https://link.springer.com/article/10.1186/s13102-026-01834-2

論文結論:トレーニング効果は「タスク特異性(動作の類似度)」に依存する

✅ 片側性(ユニラテラル)の筋力とジャンプ力を向上させるには、片側性のトレーニングが有意に優れていた。

✅ 両側性(バイラテラル)の筋力を向上させるには、両側性のトレーニングが優位であった。

✅ どちらか一方が絶対的に優れているわけではなく、トレーニングの目標や競技特有の動作特性(タスク特異性)に合わせて選択すべきであることが示唆された。

論文内容:

24件のランダム化比較試験(計588名)を対象に、ユニラテラル(片側性)とバイラテラル(両側性)トレーニングの効果を比較したメタ分析。


論文紹介②:最大筋力と筋肥大の特異性

題名:Resistance training prescription for muscle strength and hypertrophy in healthy adults: a systematic review and Bayesian network meta-analysis
著者:Brad S Currierら
公開日:2023年7月6日
https://bjsm.bmj.com/content/57/18/1211.long

論文結論:最大筋力を狙うか、筋肥大を狙うかで「最適な処方」は異なる

✅ 全てのトレーニング処方は、何もしないよりは確実に筋力と筋肥大を向上させる。

✅ 筋力を最大化するには「高負荷(1RMの80%以上)」を用いるプログラムが最も効果的であった。

✅ 筋肥大を最大化するには負荷の重さよりも「複数セット」を行うことが効果的であった。

論文内容:

健康な成人を対象とした178件(筋力)および119件(筋肥大)の研究を対象としたネットワークメタ分析。負荷(高/低)、セット数(単一/複数)、週の頻度の組み合わせによる12種類の処方効果を比較しランク付けした。


論文紹介③:複合的なトレーニングの力

題名:Effects of combined resistance and plyometric training modalities on vertical jump and sprint: a systematic review and network meta-analysis
著者:Chuyuan Zhaoら
公開:2026年1月19日
https://link.springer.com/article/10.1186/s13102-026-01531-0

論文結論:単一のトレーニングよりも、複合的なトレーニングがジャンプとスプリントに効果的

✅ レジスタンストレーニングとプライオメトリクストレーニングを組み合わせたコンプレックストレーニング(高負荷のレジスタンストレーニングを先に行い、その後にプライオを行う)が、ジャンプ(CMJ)とスプリント(20m)のパフォーマンス向上において最も効果的な介入としてトップにランクインした。

✅ レジスタンストレーニングを単独で行うよりも、コンプレックストレーニングの方が有意なパフォーマンス向上(ジャンプ高の増加とスプリントタイムの短縮)を示した。

論文内容:

34件の研究(計1,057名)を対象に、レジスタンストレーニングとプライオメトリクストレーニングの異なる組み合わせ方(CT、PT+RT、RT+PT、別日に行うCTSなど)がジャンプとスプリントのパフォーマンスに与える影響をネットワークメタ分析で評価した。


私見まとめ

「トレーニングの特異性」について、3つの論文を通して考えてみました。
・片足のジャンプ力や筋力を上げたいならユニラテラルトレーニング(論文①)
・最大筋力を上げたいなら高負荷を、筋肥大を狙うなら複数セット(論文②)

このように、自分が「何を向上させたいのか」という狙いや目的を明確にし、それに特異的な刺激を与えることは、トレーニングの基本中の基本だね。

1つの特異的なトレーニングだけでは「頭打ち」がくる

「じゃあ、スプリント力を上げたいから、ずっとスプリントの練習(特異的な練習)だけをしていればいいんだね!」と思ってしまうかもしれません。しかし、ここに大きな落とし穴があります。

人間の身体はとても優秀で、同じ刺激にはすぐに適応して「慣れ」てしまいがち。ひたすら1つの特異的なトレーニングばかりを続けていると、やがて成長は「頭打ち(停滞)」を迎えてしまうのです。

螺旋階段的に成長するための「複合的アプローチ」

そこで重要になってくるのが、論文③で引用したような「複合的なトレーニング」の視点です。筋力(ハードウェア)を高めるレジスタンストレーニングと、瞬発力・動作(ソフトウェア)を高めるプライオメトリクスを組み合わせることで、単独のトレーニングでは得られないレベルのパフォーマンス向上が見込めましたね。

また、水泳のような持久系競技においては、筋力トレーニングと持久力トレーニングを並行して行う「コンカレントトレーニング」の視点も大切ですね。相反する能力を同時に高めようとすると干渉効果が懸念されることもありますが、時期や順序、頻度を上手くデザインすることで、パフォーマンスを引き上げることが可能でしょう。

ただ直線的に同じことを繰り返すのではなく、異なる特異的な刺激を計画的に組み合わせながら、少しずつ上のステージへ向かっていく。

まさに「螺旋階段」を登っていくかのように、狙いを持って能力値を向上させていくイメージですね。

トレーニングの特異性をしっかりと理解しつつも、1つの方法に固執しすぎず、複合的なアプローチで自分の限界を突破していく。そんな戦略的なトレーニングデザインを、みんなで一緒に楽しんでやっていこ( ˆoˆ )

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この記事を書いた人

山﨑 裕太のアバター 山﨑 裕太 コーチ

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