【水深位置】スタート後の「けのび」距離を伸ばす水深やら入水角度やら

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前回の記事では、「抵抗と水深」について取り上げました。

No.168 【水泳】スタート・ターン後はどのくらいの水深にいたら良いのか?

1.6m/sよりも大きい速度では、「水深100cm」<「水深50cm」<「水深0cm」このように抵抗が大きくなる傾向にあることが分かりました。

つまり、浅い水深では抵抗が大きくなるようです。

抵抗と水深との関係を調査した研究では、いわゆる「牽引装置」で人体もしくは人体模型を引っ張ることで抵抗負荷を数値化されています。

今記事では、水泳選手が「飛び込んでから浮き上がってくるまでの距離」と飛び込み動作や水深についての関連性を調査した研究論文をご紹介したいと思います。

目次

論文紹介

題名:Which variables may affect underwater glide performance after a swimming start?
著者:Francisco Hermosillaら
公開日:2021年7月16日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34129428/

論文結論:飛び込んでからの「けのび」で遠くまでいける人の特徴は?

✅けのび中、「水深」の最大到達がより深かった(125cm以下よりも125cmより深いグループが遠くへ)

✅5m~10m区間の「速度」が大きい傾向であった。

✅飛び込んでから入水の「飛距離」は、必ずしも遠いほうが良いとは言えない。

論文内容

<参加者>

■16名の水泳選手(平均21歳、平均体重71kg、平均身長173cm)

<実験方法>

■参加者は、ウォームアップ後にそれぞれ3回のスタートを実施。

■ストリームラインを維持し、水面に浮上するまで泳がないようにという指示がされました。

■合計5台のカメラで撮影され、分析されました。

私見まとめ

飛び込んでから水面へ浮かび上がるまでの「けのび」距離が長い人に見られるのは

🔽水深が浅すぎると抵抗大きいから、ある程度は深くへ到達したほうが距離のびる

🔽入水してから「減速をなるべくしない」ような姿勢などが重要

このようなことが言えると考えられます。

「水深」と「浮き上がり」

当たり前ですが、水深をより深くすれば水面へ戻るまでの距離が増えます。

ですので、水深の深い位置へ到達することは抵抗を減らすために重要ですが、水面への「浮き上がり方」には戦略が必要でしょう。

入水の角度について

腰が入水したときの上半身の角度(水平軸に対しての手首と腰を結んだ角度)が、10~35°であることが有益である。

このような結論も書かれていたのですが、私見まとめのほうで紹介しようと思いました。

データを見ると有意差は見られなかったようですが、「10~15°」グループよりも「30~35°」グループのほうが、より長い距離であるようでした。

「入水の角度」が鋭角すぎると、浅い水深となってしまい、結果的に「けのび距離」が短くなってしまうのかもしれません。

入水角度が「水深」に与える影響という点にも目を向けて、飛び込み練習をしたほうが良さそうです。

※「への字?くの字?」入水が良いのか、皆さんもいろいろとお試しあれ。

個人的に「スポーツ科学」研究などを勉強するときに意識している態度

今回ご紹介した研究論文では、飛び込んでからの「けのび」を調査したものであります。なのでこれを直接的にレースの15m通過までの局面へ当てはめてしまうのは少し無理があるかもしれません。

こういった先行研究ともいえるものを基に、研究者の方々が科学的な手続きによってさらに深めていってくれます。

競技練習の現場では、こういった科学的な手続きによる成果を活用していきたいものです。

もちろん、全ての人にとって当てはまるワケでは無いので、「試してみる態度」を持ち合わせたいですね。

そして、「現時点での自分」にとっての判断基準で選択していけたらよいと思います。

フィジカル面(筋力や柔軟性など)が変化すれば、実現できる技術も変化すると思いますので、あくまで「現時点」という認識がオススメです。

無理に「白か黒か?良いか悪いか?」という思考方法ではなく、

「あいまいなものをあいまいなままにしておく」という態度。

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