腕ストロークで推進力アップさせたいときに見るべきポイント

スマホやアクションカメラなどで、自身の泳いでいる映像を気軽に目にすることが出来るようになってきていると思います。

気軽に見られるようになっているからこそ、ただ何となく見ておしまいになりがちです。

撮影した映像では、どのような箇所に注目して見たほうが良いのか。

今記事では、「腕ストロークで推進力アップ」させたいときに見るべきポイントについての示唆をそっと置いておきたいと思います。

目次

プッシュ局面での「手部」

手のひらの”向き”に注目して見ると、どちらの泳ぎのほうが「腕ストロークによる推進力」が大きいのかについて予想を立てやすくなります。

angle of attack

参考研究論文

題名:Effects of exceeding stroke frequency of maximal effort on hand kinematics and hand propulsive force in front crawl
著者:Daiki Kogaら
公開日:2020年9月
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32990171/

論文結論

✅ストローク頻度を増加させるとともに、手部の速さは上昇し、手部による推進力は低下した。

✅プッシュ局面での手部迎角は、ストローク頻度100%と比較して120%で明らかに低下した。

✅泳速度は、ストローク頻度100%と120%で同程度だった。

論文内容

▼8名の男性水泳選手が実験に参加。50mクロールベストタイムは22.7~24.3秒、平均23.5秒の集団。

▼20m息なし・スプリントクロールを4回実施。壁を蹴らずに浮いた状態からスタート。

▼1回目は、最大努力。1回目の最大ストローク頻度をSFmaxとして算出した。2回目は、SFmax100%。3回目は、SFmax110%。4回目は、SFmax120%。テンポはFINISのテンポトレーナーでコントロール。

キャッチからプッシュ終盤への「加速」

入水およびキャッチ局面からプッシュへ、手部が加速させるようにすると推進力を大きくしやすいでしょう。

参考研究論文

題名:Relationship Between Hand Kinematics, Hand Hydrodynamic Pressure Distribution and Hand Propulsive Force in Sprint Front Crawl Swimming
著者:Daiki Kogaら
公開日:2022年2月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8886298/

論文結論

✅泳速度の大きな選手は、泳速度の小さな選手と比べて、「手部の速度が大きい」「手部による推進力が大きい」ことが分かった。

論文内容

▼24名の男性水泳選手が実験に参加。50mクロールベストタイムは22.6~26.2秒。平均24.2秒。

▼20m息なし・スプリントクロールを3回実施。壁を蹴らずに浮いた状態からスタート。

私見まとめ

泳ぎの映像を見ることは身近になったけど、見るポイントがいまいち分からないよ。って話はよく聞きます…

今記事で取り上げたポイントは、2つ。

プッシュ局面での「手の向き」。面として後方へ素早くね。

グライド局面から手が水から出るまで「加速」。グライドでの”間とかタメ”ってのはこのためかもね。

上記以外にも、たくさんの見るべきポイントがあります。

手足のタイミング、グライド局面の姿勢、頭部と胸部のポジション、手部・足部の切り返し速さなどなど。

運動に対する結果と原因のお話

今記事で紹介した内容というのは、いわゆるキネマティクス(運動学:kinematics)

手部の加速度や位置などの「見た目」のお話でした。

実際に泳ぐ人は、「見た目」を真似するだけだとなかなか上手くいかないことが多い。

では、速い人の「何を」真似してみると良いのか?

見た目が結果だとすると、その見た目になる原因を真似してみたい。

つまり結果がキネマティクスで、原因がキネティクス(運動力学:kinetics)。

ここら辺のお話をまた別の機会に記事化してみたい。


(余談)コンテンツを無料と有料で公開するそれぞれの理由

最近、「無料と有料の境界線は何か?」という問いについて考える機会が多かったので、そのときに考えたことについてを備忘録的にアウトプットしておこうかと。

ブログやSNSでの投稿を続けていると、こんなに手間や時間をかけて作り上げたコンテンツを無料で公開しちゃっていいのかと思いたくなる気持ちは分らんでもない。

しかし、ChatGPTとかのAIに触れていると「情報そのもの」は、どんどん無料の方向へいくだろうなと思わされる。

では、有料コンテンツのほうはどうか?
おそらく今までよりも「誰が言うか」に価値が大きくなっていくんではないかと。

さらに、大衆へ向けた内容は無料の方向へ。個人へのカスタマイズされた内容は有料の方向へ。

こんなことを考えました。詳しい人、教えてください。

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