No.122 メンタルトレーニングの効果【サイキングアップ】論文紹介

競技力向上

サイキングアップ(Psyching-up)という言葉があります。

「psych」という単語は、興奮させる。名詞としては心理。というような意味があるようです。

サイキングアップを日本語訳すると、「気分を高める」というような意味になります。

このような気分を高める(サイキングアップ)技法を使って、運動パフォーマンスが向上するのか?

という効果を調査した研究論文をご紹介したいと思います。

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論文紹介:「スプリント走」へのサイキングアップ効果

題名:Effects of Psyching-Up on Sprint Performance
著者:Sarra Hammoudi-Nassibら
公開日:2017年8月
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24476774/

論文結論:サイキングアップ効果あり

<実験参加者>

・12名の男性陸上選手(スプリンター)平均年齢20歳

<実験内容>

・30mの全力ランニングでパフォーマンスを調査

・4つの条件でパフォーマンスを比較。

①サイキングアップ(イメージ):「30秒間で、最高のパフォーマンスをしている自分をイメージ」という指示
②サイキングアップ(感情表現):「30秒間で、興奮したり怒ったりして自分の感情を高めるように」という指示
③コントロール群(プラセボ):「30秒間で、自分の心拍数を測定して」という指示。「良い結果になる」という偽の言葉を与えた
④コントロール群(数字に集中):「30秒間で、1000から7ずつ引いていって」という指示

■サイキングアップによって、スプリントパフォーマンスの向上が見られた。

※①サイキングアップ(イメージ)では、0m-10m区間の速度と0m-30m区間の速度の両方が向上した。

※②サイキングアップ(感情表現)では、0m-10m区間の速度のみに向上が見られた。


論文紹介:「ベンチプレス」へのサイキングアップ効果

題名:”Psyching-up” Enhances Force Production During the Bench Press Exercise
著者:David A Todら
公開日:2005年8月
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16095409/

論文結論:サイキングアップ効果あり

<実験参加者>

・12名の男性(平均年齢27歳)と8名の女性(平均年齢20歳)

・筋力トレーニングの経験あり。

<実験内容>

・Biodexという評価装置を使用してベンチプレスの力発揮を測定。

・サイキングアップと対照群2つ(attention-placebo / cognitive distraction)の3つで比較。

■サイキングアップで、力発揮の数値が有意に増加していた。


私見まとめ

いわゆるイメージ効果(サイキングアップ)についての効果が見られたという結果でした。

【瞬発的なチカラ発揮】が必要とされるパフォーマンスにおいて、有効だと考えられます。

持久的なパフォーマンスでは、どうなのでしょう?
ペース配分などもパフォーマンスへの影響が大きいので、単純に効果を測定することが難しいのかもしれません。


私がコーチとして、選手の皆さんと接しているとき、

メンタル・精神の部分に踏み込んでコーチングすることは少ないかもしれません。

「身体が先か?心が先か?」

簡単に2分割は出来ませんが、

身体を鍛えること、身体からアプローチすることで「メンタル・精神」が向上するという理解をしています。

今回、ご紹介したサイキングアップのような手法は

「心が身体を強くした」と言えます。短期的な作用としては、このような効果も期待ができるでしょう。

ですが、やはり「そもそもの身体」があってこその精神。

健康という状態も含めてこそ、精神が成り立っていると理解しています。

もちろん、精神部分が身体へ及ぼす影響の大きさもあるでしょうが

部分だけで切り取らず、大きな視野で皆さんのパフォーマンスアップをサポートしていきたいと思います。

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