【RFD】を向上させる筋力トレーニング【実践知識編】

RFD(Rate of Force Development)とは、チカラを素早く発揮する能力.

ある時間(例えば0.1秒)までに「チカラ(Force)」がどれだけ発揮されたかを示すものです。

※RFDは、チカラ÷時間で算出されます。

RFD(チカラを素早く発揮する能力)を高めるためには?

✅RFDに関する基礎知識はコチラをご覧ください↓
No.142 【RFD】とは?アスリートと競技コーチへ説明するときに用いる記事【基礎知識編】

今記事では、
RFD(チカラを素早く発揮する能力)を高めるための「トレーニング方法」について、研究論文を引用しながら解説してみたいと思います。

目次

RFD向上のキーポイント(私見)

RFDを向上させるためには、「爆発的に・速く」チカラを発揮する【意識】を持つことがキーポイントである。

【筋トレ初心者】
✅筋力向上(筋肥大)を目的とするトレーニングプログラムでも、RFDの向上も見られる。
✅RFD初期(0.1秒未満)とRFD後期(0.2秒以降)とで見ると、筋肥大プログラムではRFD後期の向上が特に見込まれる。

【筋トレ上級者】
✅「高重量」トレーニングが、「低重量」トレーニングよりも、RFD向上に貢献する。
✅筋力向上(筋肥大)を目的とするトレーニングプログラムよりも、「速く大きなチカラ発揮をする意識を持った」トレーニングのほうがRFD向上に貢献する可能性がある。

論文紹介①

題名:Rate of Force Development and Muscle Architecture after Fast and Slow Velocity Eccentric Training
著者:Angeliki-Nikoletta Stasinakiら
公開日:2019年2月14日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6410101/

論文結論:高速エキセントリック・スクワットは下半身運動のRFDを向上させた!

✅高速エキセントリック・スクワットは、等尺性レッグプレスでのRFD(30~250ms)のほとんど全てで向上が見られた。

※統計的な有意差が明らかだったものは少ないが(表1)

✅低速エキセントリック・スクワットは、等尺性レッグプレスでのRFD(30~250ms)のほとんど全てで低下傾向が見られた。

※同じく統計的な有意差が明らかだったものは少ないが(表1)

✅ただし初心者での、高速エキセントリック運動は「筋肉痛」がひどい傾向にあるからお気をつけて。

論文内容:6週間(週2回)のトレーニング期間で、2グループに分け比較研究

■レジスタンストレーニング経験のない、大学生18名が実験に参加

■トレーニング期間は2つのグループに分けられた。
Fastグループ(男性5名/女性4名)、Slowグループ(男性5名/女性4名)

■6週間(1週間のうち2回)のトレーニング期間が設けられました。

■トレーニングは、スミスマシンを使用した「エキセントリックのみ」のスクワットを実施

■トレーニング内容
ウォーミングアップ後↓
Fastグループは、1RMの70%で、9回を9セット。
Slowグループは、1RMの90%で、6回を5セット。
いずれもセットレストは3分。

■トレーニング期間の前後で、スクワットの1RM、CMJ、等尺性レッグプレスでRFD、筋生検(外側広筋)を調査しました。

論文紹介②

題名:Resistance training intensity and volume affect changes in rate of force development in resistance-trained men
著者:Gerald T Mangineら
公開日:2016年10月15日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27744584/

論文結論:「高重量-低回数」レジスタンストレーニングは、「中重量-高回数」よりも、RFDおよび最大筋力の向上に効果的であることが示唆された。

☑「高重量-低回数」グループの方が、「中重量-高回数」グループよりも、最大等尺性筋力とRFDの向上に効果的であることが示唆された。

⇨「中重量-高回数」グループのRFDは、いずれの時点でも向上が見られなかった。
※有意差は認められなかったが、トレーニング期間後の測定では、むしろ減少傾向にあった。

☑どちらのグループでも、最大筋力(1RM)テスト中の「バーベル移動速度」は向上が見られたが、グループ間での向上は同様であった。

論文内容:レジスタンストレーニング経験者による8週間の比較実験

■2年間以上のレジスタンストレーニング経験者、男性33名が実験に参加(そのうち4名が脱落したので29名が実験を完了した)

■トレーニング実験期間は8週間。週に4回のトレーニングを実施。

■高重量-低回数(high-intensity,low-volume)グループは15名。中重量-高回数(high-volume,moderate-intensity)グループは14名。

■「高重量-低回数」グループでは、90%1RMで3~5回を4セット。セットレストは3分。
■「中重量-高回数」グループでは、70%1RMで10~12回を4セット。セットレストは1分。

論文紹介③

題名:Early and late rate of force development: differential adaptive responses to resistance training?
著者:L L Andersenら
公開日:2009年5月26日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19793220/

論文結論:筋トレ期間(14週間)に対して、RFDは向上した。が、RFDを2つの局面で分けると特徴的な反応が示された。

☑レジスタンストレーニングを14週間(計38回)実施した結果、MVC(最大随意収縮力)およびRFDが有意に向上した。

☑筋トレ実施グループと不参加グループのRFDを、2つの局面に分けて比較して見ると以下のようなことが分かった。

①RFD初期(100ms=0.1秒未満)では、筋トレ不参加グループと比べても、チカラは変化が見られなかった。
②RFD後期(200ms=0.2秒以上)では、筋トレ不参加グループと比べ、チカラの増加が明らかであった。
③さらにRFD初期は、筋トレ実施グループで、相対的に減少していることが分かった。

☑筋トレ実施グループでの「RFD初期の相対的な減少」は、筋繊維タイプ(Ⅱx型)の減少によるものであると考えられる。

※筋繊維タイプ(Ⅰ型)は有意な変化なし。筋繊維タイプ(Ⅱa型)は有意に増加していた。

論文内容:筋トレ実施群(15名)と筋トレ不参加群(10名)とで14週間の比較実験

■筋トレ実施グループは、トレーニング未経験者の男性15名(平均年齢23歳、179cm、75kg)が実験に参加。

■筋トレ不参加グループは、実施グループと同様の年齢・身長・体重である男性10名が対照群となった。

■14週間(計38回)のレジスタンストレーニングを実施。下半身のマシントレーニングで構成された。プログラムは漸増的(linear progression model)に設計された。

■MVCとRFDの測定は、アイソキネティック・ダイナモメーター(KinCom)が用いられました。ウォームアップ後、最大筋収縮を3回実施。被験者には”可能な限り速く!強く!”という指示が出されました。

私見まとめ

スポーツ競技者にとって、「爆発的に・速く」動作を実施することはとっても重要です。

RFDという言葉を知り、それを高めるための手段も理解した上で、日々のトレーニングに取り組んでいただければと思います。

今記事でのまとめとして、

「トレーニングによって高めたい能力要素は何か?」という目的を持つことが重要です。

ということを担当アスリートの方々に伝えるため、このような記事を書きました。

「何を?どこを?」鍛えるのか。

そのような目的を明確にしてしまえば、方法・手段が多少なりとも雑だったりトンチンカンであったとしても、能力向上は見込めるかもしれません。。

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