ふざけたタイトルにしてしまいました。
今記事では、「動き」を見るときに気を付けたいことを述べていきたいと思います。
見た目だけで判断しない。
特に、レース映像の一部分を静止画として「手はこうなってる。足はこうなってる」と理解するだけではもったいない。
ジュニア選手が、世界チャンピオンの泳ぎを真似するなら向上心があって微笑ましいですが…。
競技者を指導する人が見た目の話をするだけではなく、
“なぜ”「この動きになっているのか?」も、一緒に考えてみましょう。
運動学と運動力学の違い
英語では、キネマティクス(運動学:kinematics)とキネティクス(運動力学:kinetics)と言います。
どちらも物体の運動を研究する学問ですが、
動きを見た目(位置や速度)で評価するのがキネマティクス。
動きの原因(力やエネルギー)を評価するのがキネティクス。
※私はこのように理解しています。有識者の皆さん、ご指摘あったら教えてください。
水泳で例えたら?
例えばドルフィンキックの股関節内旋・外旋
【見た目】内旋・外旋している
【原因】股関節伸展への筋収縮によって副次的に外旋する。股関節屈曲への筋収縮によって副次的に内旋する。
ドルフィンキックが速い人は、内旋・外旋している!だから内旋・外旋で進むんだ!
典型的な、見た目と原因が逆転してしまっている発想。
例えばクロールのキャッチ
【見た目】キャッチで小指が下がっている
【原因】広背筋の収縮や体幹部ローリングのタイミング
手の小指を下げたほうが良い!みたいなワードも見聞きすることがあります。
原因となる力発揮の認識を通り越して「小指を下げる」ことを目指すと、多くの場合、推進力は高まらない。
ハイエルボーとかキャッチ時の泡とかも。
結局、どっちも大切。
腕や脚を“どのような”軌道で動かすのか理解することで、速い人たちの共通項と照らし合わせて評価がしやすい。自分は、どの部分が改善点なのか?フィードバックと分析をおこなってみよう。
一方で、
腕や脚が“なぜ”このように動いているのか?ということを分析し理解するのは、なかなか難しい。力発揮の部分やパターンを色々と試すことで最適な動きを引き出していきましょう。
そして今記事での言いたいことを短く述べると、
力(フォース)を見ろ。ということになります。
フォースが見えない人は、見えていそうな人に聞くか、ひたすら闇雲に試してみましょう。
陥りやすい考え
スポーツ指導の現場にいると、多くの場合「見た目」の動きだけを重要視してしまいがちのように感じる。
『世界チャンピオンは、手のプッシュ局面で外をかいてるから、おれも外をかくぜ!』
この場合、「手が外をかいている」というのは”見た目(キネマティクス)”の問題。
しかし、腕の筋肉が出す”力”を見てみると「リカバリー局面へ向かっている」、つまり外をかくような力は発揮されていない。なんてことも多い。
このように、ただ見た目だけを分析した気になって指導するパターンの多くは良い方向へ進まないと思うよ。
頭がゴチャゴチャしたら基本を思い出してみよう
水泳の基本は、ストローク長とストローク頻度。
そして、壁けり。