スプリント|代謝ストレスを与えるだけならSITを数本で充分なんだけどね。

sit-metabolic-homeostasis 生理学

トレーニングコーチとして、適切なトレーニングプログラムを作成していきたい。そのためには現場での実践だけではなく、研究と現場との相互浸透があるとより良いなぁ〜と感じております。

私は今のところ現場でひたすら実践していくつもりですので、研究者の皆様なにとぞお力添えを宜しくお願いいたします。

今記事では、SITに関する水泳の研究を2つご紹介したいと思います。

その上で、練習でSITを実施する場合は「どのくらいの距離でどのくらいの本数」が望ましいのか?

また、SITのような高強度トレーニングの割合はどれくらい実施すべきなのか?

生理学的なエネルギー代謝に負荷を与えるトレーニング刺激だけで良いのか?

などを考えていきたいと思います。

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論文紹介①

題名:Response of Blood Biomarkers to Sprint Interval Swimming
著者:Athanasios Kabasakalisら
公開日:2020年9月22日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32963121/

論文結果:(25m×8本)vs(50m×8本)生理学的な代謝ストレスはどちらも同様でした。

✅血中乳酸値は、どちらのトレーニング後も同様に上昇しました。

✅グルコース・インスリン・グルカゴンは、どちらのトレーニング後も同様に上昇しました。

✅コルチゾルは、どちらのトレーニング後も同様に上昇しました。

※実際の数値を知りたい人は論文フルテキストで確認してみてくださいね。

論文内容:

■24名(男性12名/女性12名)の水泳選手が実験に参加。平均年齢は15歳。週に6回以上トレーニングを実施しており全国大会出場レベル以上の集団。

■2つのトレーニングテスト(最大強度のオールアウト)を実施。
・50m×8本(長水路プール)
・25m×8本(短水路プール)
いずれも「泳いだタイムと休息時間」が「1:1」となるように実施。水中から壁を蹴ってスタートした。

■トレーニング実験の前後で血液検査による生化学的な分析をおこなった。

論文紹介②

題名:Low-Volume Sprint Interval Swimming Is Sufficient to Increase Blood Metabolic Biomarkers in Master Swimmers
著者:Athanasios Kabasakalis
公開日:2020年10月21日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33084521/

論文結果:(25m×4本)vs(50m×4本)生理学的な代謝ストレスはどちらも強く刺激されました。

☑乳酸値は、どちらのトレーニング後も充分に増加したが、50m×4本のほうが高い数値となる傾向が見られました。

☑グルコース・インスリン・グルカゴンは、どちらのトレーニング後も充分に増加したが、50m×4本のほうが高い数値となる傾向が見られました。

☑コルチゾルは、50m×4本後の男性でわずかに増加が見られたが、女性では増加は見られなかった。

50m×4本のタイム(男性平均37秒/女性平均45秒)
25m×4本のタイム(男性平均15秒/女性平均秒19)

論文内容:

■21名(男性10名/女性11名)のマスターズスイマーが実験に参加。週に4回以上(練習1回あたり75分間で2900m程)トレーニングを実施している集団。

■2つのトレーニングテスト(最大強度のオールアウト)を実施。
・50m×4本(長水路プール)
・25m×4本(短水路プール)
いずれも「泳いだタイムと休息時間」が「1:1」となるように実施。水中から壁を蹴ってスタートした。

■トレーニング実験の前後で血液検査による生化学的な分析をおこなった。

私見まとめ

競技レベルの高いジュニア水泳選手による全力クロールでの、(25m×8本)と(50m×8本)では

どちらも生理学的な負荷はどちらも同様であるということが分かりました。

さらに、

マスターズスイマー(40歳前後の水泳選手)による全力クロールでの、(25m×4本)(50m×4本)では

どちらも生理学的な負荷を高める(代謝ホメオスタシスを打破する)ことが分かりました。ですが、(50m×4本)スプリントのほうがわずかに大きな負荷であることが示唆されています。

高強度トレーニングは全て25mで組み立てるべきなのか?本数は8本以下でいいか?

このように少し極端な疑問を持つことはとても重要だと思います。

私は、このような質問をもらったら「トレーニングの狙いによる」と答えるでしょう。

今記事で紹介した研究内容のように「高強度運動によるエネルギー回路(主に解糖系)へのトレーニング刺激」を狙いとした場合は、25mで数本という取り組みでも充分である可能性が高いです。

そのトレーニング刺激の負荷量というのは、選手個人によって変動させていくことが望ましいかと。

しかし、水泳競技パフォーマンスが向上する(つまりタイムが速くなる)というのは、生理学的なエネルギー回路の強化だけではありません。

水泳競技に必要な技術(ストローク長やストローク頻度)に対する取り組みも、とっても大切になります。

高強度トレーニングを中心に、1週間あたりのトレーニング強度を組み立ててみよう

高強度のインターバルトレーニングは、持久系スポーツにおいても時間効率の良いトレーニング手法であると考えられています。

しかし、高強度なトレーニングばかりでは疲労も蓄積されてしまいケガや故障につながるリスクも高まってしまいます。

高強度・中強度・低強度をどのような割合でトレーニングを配分していくべきでしょうか?

答えの一つとして「Polarized Training」という考え方があります。
No.89 【水泳】Polarized(ポウラライズド)トレーニングについての研究論文を紹介

↑トレーニング強度の配分にお悩みの方は参考にしてみると良いかと思います。

高強度トレーニングの指標として、血糖値の測定が主流になるかもだよ~

現在、高強度トレーニングの指標としては「血中乳酸濃度」を測定することが主流であります。

今記事で紹介した研究中でも、「グルコース」を測定しています。

このグルコースはつまり血糖値のことです。スプリントトレーニング後は、乳酸値と同じく血糖値の上昇も確認されています。

スポーツ現場での測定方法は、米粒大の血液を指先または耳たぶから採取します。そのため、ちょっぴりだけ痛い思いをさせられます。

医療行為になるんじゃないか?とか
衛生的に問題あるんじゃ?とか

いろいろと現場で定期的に測定することは億劫です。

そこで、非侵襲(血を出さない)タイプで測定ができる機器があれば、日々の測定が必要な人にとって良いよねということで

来年あたりには「非侵襲で測定が可能な血糖値測定器」が一般販売されていくらしいです。

たのしみ~。

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