No.216 スプリント能力と持久力は両立できない?【VLamax:最大乳酸生成率】

生理学

乳酸測定の指標として、最近よく耳にするワードがあります。

VLamax

ブイエルエーマックス? ブラマックス?

最大乳酸生成率(maximal lactate production rate)とか、

最大解糖速度(high maximal glycolytic rate)などと説明されています。

(Jennifer Hommelら:2019)(Henning Wackerhageら:2022)

今記事では、乳酸測定(VLamax)によるパフォーマンスやトレーニング計画の評価について、ゆる~く書き残しておきたいと思います。

そもそも「乳酸」ってなに?という人は↓

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VLamaxってなに?

VLamax(最大乳酸生成率)とは、運動によって乳酸が産生される最大速度の指標です。

乳酸はグルコースの嫌気性代謝の副産物であり、激しい運動中の筋肉組織で多く生成されます。

VLamaxは乳酸生成の最大速度を反映し、高強度運動に対する能力の指標として使用されます。VLamaxが高い数値であれば、高強度運動を実行する能力が高いことを示すと考えられています。

しかし、VLamaxという概念が浸透していなかったり、測定手法が確立していないなどがあり研究は一般化していません。これから見守っていきたい。

VLamaxの測定方法は?

約10秒くらいの全力運動の前後に、乳酸値を測定し、計算式を用いて最大解糖速度(VLamax)を算出します。

VLamaxが分かったらどのように評価すればいいの?

過去の自分と比べて、VLamaxが高くなっている場合は、乳酸閾値が低くなっている(より低い強度の運動でも解糖系が働きやすくなっている)可能性が考えられ、持久力パフォーマンスが低下しているのではないかと示唆されている。

(Henning Wackerhageら:2022)

つまり、高い解糖能力は、持久力パフォーマンスの邪魔をするのかもしれない。と考えられる。

VLamaxから考えるトレーニング計画

VLamaxの数値が高ければ、解糖系能力が高い。つまり、短距離パフォーマンスに良い影響が考えられます。

VLamaxの数値が低ければ、有酸素性能力が高い。つまり、長距離パフォーマンスに良い影響が考えられます。

長距離競技であれば、VLamaxが高くなっている場合、VLamax数値を下げるようなトレーニング計画が必要となるかもしれません。

このように、VLamaxを定期的に測定し、トレーニング計画の評価に取り入れているチームが増えてきているようです。特にドイツやフランス。

(VLAMAX: ELITE COACHES SECRET WEAPON / INSCYD)

私見まとめ

アスリートのパフォーマンスやトレーニングの進捗を、見える化・数値化する試みはドンドン進歩してます。

乳酸測定も、血を出さない測定方法がやっと現実的になってきていますね。待ち遠しい。

今記事で述べたかったこと

VLamaxというイイ感じの指標っぽいものが出てきました。

ですが、実際のスポーツ現場では乳酸を測定することはほとんどありません。近い将来は気軽に測定しているかもしれませんが…。

このVLamax関係の論文を読んでいて、再認識させられたことは2つ

(1) スプリント能力と持久力の両立はムズカシイ。

(2) エネルギー供給系の最低限の知識は頭の片隅にでも入れておこう。

最後に

スプリント能力を高めると、持久力を失いやすい。

持久力を高めると、スプリント能力を失いやすい。

この矛盾を克服するような取り組みにもトライしていきたいね。

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