ヤンチャな選手ほど本番に強いような気がする不思議について

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「あの選手、練習メニューは完璧に守るのに、なぜかレースで力を発揮できないんだよな…」

真面目で、コーチの指示を忠実に守り、誰よりも早くプールに来て、誰よりも遅く帰る選手。
でも、大事な場面で「何か」が足りないように感じる。

一方で、練習では自分勝手にメニュー内容をアレンジし、時には軽い反発さえ見せる選手が、本番では驚くようなパフォーマンスを発揮することもある。

この「ルールを守ること」と「結果を出すこと」の間にある複雑な関係について、今記事では思考を巡らせてみたいと思います。

おそらく似たようなことを感じている選手や指導者も多くいるように感じるね。。

目次

この記事を通して読者に伝えたいこと

多くのコーチや指導者は、選手に対して「ルールを守らせること」に必死になりがち。

でも本当に重要なのは、なぜその人がルールを守るのか、あるいは守らないのかという心理的メカニズムをぼんやりと認識することかもしれません。

当たり前ですが、人間は決して単純な存在ではないですね。
「ルールを守る」という行動でも、その背景には全く異なる心理的動機が働いていたりするものです。

そういった心理を認識して、普段の現場に活かしていきたい。

研究論文の紹介

題名:Why people follow rules
著者:Simon Gächterら
公開日:2025年5月26日
https://www.nature.com/articles/s41562-025-02196-4

実験内容

本研究では、「なぜ人は、匿名で他人に影響を与えず、罰や報酬がなくても、時には不合理に見えるルールを守るのか?」という問いに答えるため、CRISPモデルという枠組みを提案しました。CRISPとは、以下4つの要素から構成される

  • R:ルールに対する内在的敬意(Respect)
  • I:外的なインセンティブ(Incentives)
  • S:社会的な期待(Social Expectations)
  • P:社会的配慮(Social Preferences)

この枠組みを検証するため、14,034名を対象にいくつかのオンライン実験を実施。

主な実験の流れ:

参加者は画面上で赤信号が点灯している間に進むと「得られる報酬」が失われ、青信号を待った場合のみ最大報酬を得られるという 「赤信号を待つべき」というルール付きゲーム に参加。ルールを破っても罰則なし、匿名で他者への影響もない状況

論文結論

✅多くの人は、匿名で誰にも影響を与えない状況でもルールを守ることがわかりました。

  • ルール順守の主たる原動力は「罰や報酬」といった外的要因ではなく、むしろ「内在的敬意(Respect)」と「社会的期待(Social Expectations)」であると示されました。
  • たとえば、「ルールだから守るべき」という考えや、「他の人も守っているだろう」という期待が、行動に大きな影響を与えています。

✅ルール違反は伝染し得るが、その影響は限定的であり、多くの人は依然として順守行動を選び続けました。

  • 親切動機(プロソーシャル動機)や外的インセンティブも順守を促しますが、順守全体における主要因はやはり「無条件にルールを守る傾向(unconditional rule-following)」と「社会的期待」 であることが判明しました。
  • 一部の人は状況に関わらずルールを守る(無条件派:約23%)、また一部は周囲の行動に応じて判断する(条件付き派:約30%)という個人差も存在することが明らかになりました。

私見まとめ

「なぜルールを守るのか?」という問いに対して、「罰や報酬」といった外的な要因で説明しがち。

実際、これらは「短期的に」人を従わせるうえで有効に働くでしょう。
しかし、人が長期的にルールを守り続ける背景には、外的な強制だけではなく、「ルールそのものに意味を見出すこと」や「仲間も守っていると信じられること」が強く関わっていることが示されています。

スポーツの現場に置き換えて考えてみよう

練習メニューを忠実にやり切る選手。
基礎を疎かにせず積み重ねる姿勢。
試合で決められた戦術を徹底するチーム。

これらは単に「怒られるから守る」のではなく、
「自分を成長させるため」と理解し、「仲間も同じように取り組んでいる」と信じられるからこそ継続される。

指導者として大切にしていきたいのは、
選手に対して「この練習はなぜ必要か」を言語化し、仲間同士で支え合えるような文化を育てることが、長期的な強さをもたらすということ。

選手にとっても、「誰も見ていなくても守れる自分」であることが最大の成長につながるね。
きっと強い選手ってのは、罰やご褒美に頼らず、「信念」とか「仲間との信頼」とかに支えられて続けられること。

一方で、「良い子ほど、伸び悩む」理由

「素直で真面目な選手ほど、ある時点で伸び悩む」という声も耳にするよね。

真面目で従順な姿勢は大きな強み。
基礎を積み重ね、協調性を発揮し、練習をしっかりとこなすことは、確実に力を伸ばす土台になる。

しかし、その従順さが過度になると、次のような課題が発生しがち。

▶︎応用力の不足:
想定外の状況に直面したとき、自分の判断で工夫する力が育ちにくい。

▶︎リスク回避傾向:
失敗を恐れて挑戦を避けるようになり、新しい可能性を試せなくなる。

▶︎主体性の欠如:
成長を指導者に委ねすぎ、自分から課題を深掘りする習慣が弱まる。

つまり「良い子であること」自体は素晴らしいことだけど、そのままでは成長に上限が早い段階で訪れる。

なので指導者の役割としては、「選手の従順さ」を否定することではなく、それに「主体性」とか「考える習慣」を加えていくことだね。

「なぜこの練習をするのか?」「自分ならどう工夫するか?」という問いを与え、選手に考えさせることが重要かもよ。

選手のみんなも、
「言われたことを守る」だけでなく、「自分なりに挑戦する」「失敗から学ぶ」姿勢を持つことが、殻を破るきっかけにきっとなるね。

「従順さ」だけではすぐに限界がくるよ。
良い子が化けるのは「主体性」を得たとき。

みんなで頑張ろ\( ˆoˆ )/

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この記事を書いた人

山﨑 裕太のアバター 山﨑 裕太 コーチ

アスリートのコーチングが仕事
オリンピック選手指導
趣味は飲みニケーション
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