RFDとは?
「Rate of Force Development」(チカラの立ち上がり率)と日本語訳されます。
ある時間(例えば0.1秒)までに「チカラ(Force)」がどれだけ発揮されたかを示すものです。
※RFDは、チカラ(N)÷時間(S)で算出されます。
N=Newton(ニュートン)
S=Seconds(秒)
簡単に言うと
RFDとは、どれだけ素早く、どれだけの「チカラ」が発揮されたか?
という身体能力のことを指していると考えられます。
最大筋力とスプリントパフォーマンスの違い
ずばり、求められる「時間」が違います。
例えば、
短距離の全力走(スプリント走)で、地面と足との接地時間は
「約90〜130ms(ミリ秒)」です(Sami Kuitunen:2002)
最大筋力(最大随意収縮力=MVC:Maximum Voluntary Contraction)は、
「300ms(ミリ秒)」よりも遅れて到達します。(A Thorstensson:1976)
つまり、
多くのスポーツ競技では「最大筋力」に到達するよりも前に、より短い時間で、より大きな力発揮が求められている、ということになります。
RFDを向上させるトレーニングは?
【RFD】を向上させる筋力トレーニング【実践知識編】


今記事では、RFDが向上するメカニズムについて研究した論文をご紹介したいと思います。
論文紹介
題名:Increased rate of force development and neural drive of human skeletal muscle following resistance training
著者:Per Aagaardら
公開日:2002年10月
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12235031/
論文結論:筋力トレーニングによって神経系から筋肉への信号が強くなったと考えられる
🔽14週間(合計38回)の筋トレ期間後、RFD向上と共に筋電図の変化・インパルス(活動電位)の増加が見られました。
⇨筋電図の平均電圧上昇および時間あたりの上昇率の向上が見られました。
🔽RFDの向上は筋トレ期間後で「17〜26%」増加が見られました。
🔽上記の結果は、遠心性神経ドライブ(efferent neural drive)の増加によって説明ができます。
⇨つまり、筋トレによって脳神経系からの筋肉への信号が強くなったということ。
論文内容:14週間の筋トレ前後で、RFDを測定
■15名の男性(平均23歳,体重74kg,身長179cm,本格的な筋トレ未経験者)が実験に参加しました。
■14週間(計38回)の期間、漸増的(progressive)な筋力トレーニングを実施しました。
■測定はアイソキネティック・ダイナモメーター(KinCom)が用いられました。最大努力で3回もしくは4回の膝伸展を実施。被験者には”可能な限り速く!強く!”という指示が出されました。
■EMG(筋電図)測定は、膝伸筋(大腿部の前面)に配置されました。
私見まとめ
筋力トレーニングによって、RFDが向上するということが分かりました。
ここからさらに知見を深めるために、様々な疑問が生まれてきます。
・低負荷-高回数のトレーニングによって、RFDの向上効果に違いは出るのか?
・セット内の回数やセット間の休憩時間によって、効果は異なるのか?
・トレーニング歴が長いアスリートなどでは結果が異なるのか?
そんな疑問を持ったり、仮説を立てながら、より良いと考えられる方法を現場で実践していきたい。