じつに多くの水泳選手がウエイトトレーニングに取り組んでいます。
なぜ水泳選手なのに水泳の練習を削ってまで、ウエイトトレーニングに取り組むのか?
きっと、それぞれの選手や指導者に目的意識があるかと思います。
私がトレーニング指導者としてアスリートを中長期で担当させていただく場合、身体というハードウェアのアップグレードを目的としてウエイトトレーニングに取り組みます。も少し具体的に言うと、発揮する筋力を高めることを目指します。
しかし、トレーニングを続けていくうちにいつの間にか「手段の目的化」がおきてしまいがち。
本記事では、水泳選手がプールでの練習を削ってまでウエイトトレーニングに取り組む目的や狙いって何なのか?
取り組んでいるうちに陥りがちな「手段の目的化」について、お話を進めていきたい。
手段の目的化って、なぁに?
水泳選手で例えて言えば、分かりやすいのは懸垂トレーニングかな。
「背中を使って引く筋力を高める」という目的を設定し、気をつけるべきフォームや力発揮を決めて取り組んでいたはずなのに、いつの間にか「懸垂をいかに楽なフォームでこなすか」みたいなことは起こりがちですよねw
手段としての「懸垂トレーニング」だったはずが、いつの間にか懸垂をこなすことが目的になってしまったあるあるパターンw
なんのために懸垂をやるんだっけ?ってところ。ついでに「懸垂じゃなきゃダメなのか?」ってところも、何度でも確認し合おう!
もひとつ例え話をしておこう。
ダイエットのために食事制限を始めた人が、制限すること自体に執着し、必要な栄養素を十分に摂取できなくなってしまう。そんなことも起きがち。
手段の目的化がおこってしまう原因
ウエイトトレーニングに取り組む目的を十分に設定していないと、いつの間にかふわふわしちゃいがち。
なんとなしにトレーニングルームへ行き、定められたメニューをこなすだけ。そんなあなたは手段の目的化へまっしぐら。
「○○kg挙げた」「○○回できた」などの評価されることに満足しちゃって、本来の目的を見失ってしまいがち。
手段の目的化のデメリットってなぁに?
それはね、目的が達成されにくくなることだよぉ。ウエイトトレーニングの目的を忘れちゃうと、本来なら必要ないことに時間も労力も使うことになっちゃって効率が悪いよね。
あと結構あるあるなのが、「とにかく重いものをぶち上げる」みたいな感じになって、可動域もせませまで安全性もまるで無視ってなっちゃうこともあるよね。
まとめ
手段としてのウエイトトレーニングの必要性は、水泳界にもかなり浸透してきているように思えます。
だからこそ、なんのためにウエイトトレーニングって取り組むんだっけ?という部分について立ち止まって考えてみることを勧めたい!もし考えたこともなければ、山崎が壁打ち相手になりますよ!お金かかるし高いけどw
逆に言えば、一見すると何の関係もなさそうなことに合目的性を見つけ出したのならば何であれ取り組んでみるのもあり!
自分にとっての「合目的性」を見つけるには、他人の成功体験を鵜呑みにせず、しっかりと分析することが大切だね。他人の合目的性は、あくまで他人の才能をベースにしたものだからね。
筆者(やまざき)は担当選手にどう伝えているか?
こんな感じ↓
水泳選手のウエイトトレーニングは、まるで『水と器』のような関係です。
— 山﨑 裕太(Yamazaki Yuta) (@hari_sports_YY) April 19, 2024
器を大きく丈夫にするためにウエイトトレーニングを実施する。
その器の中に水を入れて満たしていくためにスイム練習をする。
両方とも大切な作業です。…
でも、アスリートの大切な時間を使って競技以外のトレーニングに取り組むんだから、可能な範囲で必要な能力を同時に高めて獲得したいよね。どうせやるなら競技力向上に繋げたいし。
なので、器を丈夫に大きくするための手段としてウエイトトレーニングを取り入れながら、ウエイトトレーニングで力発揮を学習する副産物として「体の使い方とか身体操作性」を獲得していけるような設計を目指して指導しているよ!
もしも、最優先で体の使い方とか身体操作性とかを向上させることが目的であるならば、ウエイトトレーニングではない手段にしたほうが安全だし良いだろうに( ◠‿◠ )