アスリートに仲間は不要なのか?苦しい時に支えてくれる仲間の大切さ

「私は1人で強くなる」「仲間は必要ない」。

上り調子のアスリートの中には、このような考えを持つ人も少なくありません。確かに、自分のことだけに集中することで、短期的にはパフォーマンスを向上させやすいでしょう。しかし、長期的には、仲間の存在がアスリートにとってかけがえのないものとなるはずです。

目次

言葉による励まし(verbal encouragement)

励ましが水泳パフォーマンスに与える影響

結論

✅言葉による励ましによって、200m自由形のパフォーマンスを向上させる可能性があることが示唆された。

・競技レベルが比較的に低い集団での実験結果。励ましによる効果を200mの前半後半で見ると、前半100mのパフォーマンス向上が顕著。後半は効果が薄れ、逆に疲労度が増加することが示された。

実験内容

・60名の水泳選手が実験に参加(男性28名/女性32名/平均年齢18歳)
・200m自由形の全力泳を「励ましあり」と「励ましなし」の2つの条件で比較
・「励まし」は、選手が装着するBluetoothデバイスによって、コーチから届けられた。

(Luca Puceら:2022)

時には、コーチの励ましよりも仲間の励ましのほうが大きな力を得られる

結論

✅言葉による励ましによって、最大筋力(1RM)と持久力を向上させる可能性が高いことが示唆された。

✅さらに、仲間からの励ましが、クロスフィットにおける筋力および持久力を向上させることに効果的である可能性が示唆された。

実験内容

・36名の学生が実験に参加(男性18名/女性18名/平均年齢21歳)
・スクワット、デッドリフト、ベンチプレスの1RM測定と、8分間タイムトライアル(8分間の中で、指定されたエクササイズセットをできるだけ多くのラウンドをこなすよう指示された。エクササイズは、バーピー6回、ボックスジャンプ6回、ハンドリリース腕立て伏せ6回、腹筋10回)の測定が実施された。
・参加者は、3つのグループ(コーチからの励まし/仲間からの励まし/励ましなし)に分けられた。実験はクロスオーバーデザインで実施された。

(Amir Romdhaniら:2024)

私見まとめ

成績が伸びているときは良いが、苦しい時は必ず来るよ

どんなアスリートでも、常に成績が伸び続けるわけではないでしょう。スランプに陥ったり、怪我したり、モチベーションを失ったり…。苦しい時期はきっと訪れます。

そのような時に、支えてくれる仲間の存在は、非常に重要ですよね。

仲間は、成長を加速させる

仲間は、競争相手であると同時に、成長を助けてくれる存在でもあります。互いに切磋琢磨することで、技術や精神力を高めることができると思います。

ときには、仲間とぶつかり合うこともあるでしょう。そういった経験からのアドバイスや指摘は、自分では気づかない改善点を見つけるきっかけとなります。

仲間は、アスリートにとって単なる「存在」ではありません。苦しい時に支えてくれる心からの仲間であり、成長を加速させるための存在です。

ただし、1人で孤独に取り組んだほうが良い時もあるよ

根性練習は集団で。

賢い練習は単独で。

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