同じ練習でも、1人で取り組むよりも、複数の仲間と取り組んだ方が『はかどる』ことを経験したことがある選手も多いと思います。
逆に、大勢の人達と同じ練習に取り組むよりも、1人で取り組んだ方が『はかどる』ことも経験したことがあるのではないかと思います。
心理学の面から競技練習を考えてみる
社会心理学の分野で、社会的促進と社会的抑制という言葉があります。
人は、他者の存在が自身のパフォーマンスに影響を及ぼすことを、多くの研究によって発見してきました。
それらの研究の始まりに、Triplett(1898)の研究があります。
(Social facilitation: a meta-analysis of 241 studies:1983)
思春期の子供たちは、2人で行動しているときの方が、1人で行動しているときよりも早く釣り糸を回すことができることを発見しました。
社会的促進(social facilitation)
集団で課題に取り組んだほうが『はかどる』現象を【社会的促進】
社会的抑制(social inhibition)
集団で課題に取り組むと『はかどらない』現象を【社会的抑制】
どのようなケースで発生しやすいのか?
上記2つの現象は、課題の性質によって異なると考えられています。
✅社会的促進が発生するのは、課題が『単純』なケースのとき
✅社会的抑制が発生するのは、課題が『複雑』なケースのときであると指摘されています。
競泳の練習現場に当てはめて考えてみる
100m×10本などの(量的な)有酸素性持久力向上トレーニングを実施するときなどは、社会的促進が発生しやすいのではないでしょうか。
一方で、
レースのストローク頻度や区間ペースなどを意識した、(質的な)トレーニングを実施するときなどは、社会的抑制が発生しやすいかもしれません。
このように考えていくと、練習メニューを作成する際に『取り組む選手たちの心理』を想像していく必要があるように感じます。
とはいえ、時間も環境も限りがありますので、現実的に最適な取り組みをやっていきたいものです。
まとめの言葉
根性練習は集団で。
賢い練習は単独で。