インターバルトレーニング中の「レスト」に関する取り組みを複数回に渡って記事にしています。
No.155 アクティブレストvsパッシブレスト【インターバル45秒vs120秒】
No.156 アクティブレストvsパッシブレスト【アクティブレストの泳速度60%vs50%】
今記事では、アクティブレストの「強度」を比較した研究を紹介いたします。
比較した強度は、(100mトライアルタイムの)「60%泳速度」vs「40%泳速度」です。
論文紹介
題名:Repeated Sprint Swimming Performance after Low- or High-Intensity Active and Passive Recoveries
著者:Toubekisら
公開日:2011年1月
https://journals.lww.com/nsca-jscr/Fulltext/2011/01000/Repeated_Sprint_Swimming_Performance_after_Low__or.16.a
【参加者】
10名(平均年齢18歳)の男性水泳選手
※週に35〜45kmのトレーニングを実施している集団。
【実験内容】
25m×8本、1本ずつ120秒インターバルを実施。その後、6分間の休憩を取り、50mスプリントを1本実施。
実験は以下の3種類トライアルで比較。
120秒インターバルおよび6分休憩のあいだに
⑴パッシブレスト
⑵アクティブレスト(100mレースの60%泳速度)
⑶アクティブレスト(100mレースの40%泳速度)
※6分休憩の中でのアクティブレストは約3分間でした。
【結果】
✅アクティブレスト(60%)は、パッシブレストおよびアクティブレスト(40%)と比べて25m8本のパフォーマンス低下が明らかであった。
✅アクティブレスト(40%)とパッシブレストとの比較では、差が見られなかった。
✅50mスプリントでは、アクティブまたはパッシブの種類に関わらず、影響の差は見られなかった。
私見まとめ
今回の研究においても、やはり「インターバル中にアクティブレスト(泳速度60%)を実施すると、パッシブレストと比べて、パフォーマンスが低下した」という結果が分かりました。
しかし、アクティブレストでの異なる強度を比較してみると、結果が異なったようです。
100mトライアルタイムの「40%泳速度」でアクティブレストを実施したケースでは、パッシブレストと同様のパフォーマンスであることが示唆されました。
「60%泳速度」と「40%泳速度」で、パフォーマンスが異なった要因をざっくりと考えると
60%では40%よりもエネルギー消費が大きくなったため、次の本数への回復がわずかでも遅れたのだと思われます。
アクティブリカバリーを実施すると体内では何が発生しているのか?
ある程度の強度でアクティブリカバリーを実施すると、パッシブリカバリーと比べて、デオキシヘモグロビン(酸素と結合していないヘモグロビン)の増加が見られた。
これはつまり、アクティブリカバリーによって酸素を利用したということが考えられます。それによってエネルギー回路の回復が遅れているのではないかと思われます。
アクティブレストの泳速度を計算してみる
100mタイムトライアルが「60秒」の場合
■60%泳速度では「1分24秒」
■40%泳速度では「1分36秒」
100mタイムトライアルが「50秒」の場合
■60%泳速度では「1分10秒」
■40%泳速度では「1分20秒」