スイミング選手育成(ジュニア)年代のために、現場が今すべきこと

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最近の水泳界では、ジュニア選手を対象とした「短期キャンプ」や「外部指導イベント」といった学びの機会が急増しています。
ジュニア選手や、その保護者は日常的に多くの指導情報へアクセスできるようになっています。

とくに、「許可なんて要らない」「誰でも自由に参加できる」といった仕組みは、表面的には【選手ファースト】に見えるため、拍手喝采を受ける傾向にあります。

しかしこれらのようなジュニア選手を対象としたビジネスは、果たして本当に選手や保護者のためになっているのでしょうか?
そして、ジュニア指導の現場のコーチやスイミング事業体は、無傷で済んでいるのでしょうか?

誰かを責めるのではなく、業界全体が向き合うべき「ゆるやかな崩壊」を直視しなければならないタイミングなのかもなと感じています。

こうした状況は一見、「成長機会の拡大」「学びの多様化」のように見えます。
しかしその裏で、育成の現場に「見えないほころび」が生じ始めているようにも感じています。

それは、

・担当コーチの育成意図が断ち切られる
・クラブの長期的育成方針が無視される
・トレンドの選手やコーチたちの消費化

といった、
・ジュニア選手の未来
・プールを自分たちで持つスイミング事業
これらに関わる構造的な問題です。

私はこれまで、SNSで10万人以上のフォロワーに水泳テクニックを発信してきましたが、
「ジュニア選手個人に直接アドバイスすること」には一貫して慎重な立場を取ってきました。
なぜなら、それがスイミングの育成現場で日々、責任を持ってジュニア選手と向き合っているコーチたちの役割を尊重する行為だと確信しているからです。

冒頭の文章で、長くなってしまいましたが、見ての通り「熱」がこもっています笑
本記事では、こうした「スイミングスクールにおけるジュニア育成」構造の変化について、問題提起を行い、スイミング現場が未来をつくっていく方法を提案します。


目次

構造的な2つの問題点を整理するよ

ジュニア選手育成の未来が危うくなる構造的リスク

▸ 問題の本質:

短期的かつ無責任な指導に依存する風潮が進むことで、
泳ぐ前段階の水慣れである「ぶくぶくパァ〜」から導入してきたスイミングの長期的な育成設計(トレーニング計画、ピーキング、競技力・人間力の育成)が崩れる。

▸ 詳細な問題点:

  • 担当コーチと外部指導者の方針が噛み合わず、選手が混乱する
  • 選手の「上手くなった気がする」という感覚だけが先行し、長期成長に必要なプロセスを軽視する傾向
  • 周囲の大人が「即効性」や「短期の快楽」ばかりを重視するあまり、本質的な学びが軽視される空気
  • 結果として、育成の「責任の所在」が曖昧化し、成長に必要な“伴走者”が不在に

スイミングスクールという教育事業の基盤が揺らぐ

▸ 問題の本質:

「現場外での消費」によって、
スイミングスクールという
・安心して通える「場所」
・信頼できる「コーチ」
・時間をかけて積み上げてきた「指導の流れ」
といった信頼の仕組み全体が少しずつ壊れてきている。

▸ 詳細な問題点:

  • 優秀なコーチほどやりがいを失い、流出や離職の加速要因になる
  • 保護者や選手の「クラブへのロイヤリティ」が低下し、長期的な契約継続が難しくなる
  • 外部に人材も利益も流出し、内部では新しい育成投資(設備・研修)ができなくなる悪循環
  • 組織的な指導体系が空洞化し、場当たり的な対応だけが残る
  • 教育ビジネスとしての「構造的な価値提供」が成立しなくなる

外部キャンプは、一回完結型です。それは良い面も当然にあります。
しかし成果が出なくても、指導と結果の因果関係は不明瞭です。
場当たり的かつ責任なき指導が拡がると、ジュニア育成の本質は崩壊していくんではないかと。

では、どうすれば良いのか?

このような状況に対して、われわれにできる選択肢は「否定や排除」ではありません。
むしろ、外部の力を活かしつつ、現場が育成の軸を自ら設計・内製化・連携していくことが解決策です。

✅ 具体的な3つのアクション提案

1)外部講師を「業務委託型」で運営する

各スイミングの育成戦略に沿って、必要なタイミングで適切な指導者を招く形式です。
これで「外部講師」の価値も、「現場の育成軸」も両立できる、最も健全な形だと思います。

2)キャンプや強化練習を「クラブ主導で内製化」する

短期集中プログラムをスイミングクラブ側が企画し、外部知見を部分的に取り込む。
育成の全体像と矛盾せず、経営的にも競争力のある仕組みを構築できるはずです。

3)選手・保護者に「育成設計図」を共有する

当たり前ですが多くの保護者は、水泳選手の育成に対する知見も経験も乏しいです。ですので、目の前の成果やトレンドに流されやすくなります。
だからこそ、長期的な育成プランと指導意図を丁寧に共有することが、
外部介入に惑わされない「安心と信頼」の土台をつくります。


育成は、利益の刈り取りの場ではないのよ。

ジュニア選手の未来とスイミングスクールの現場は、熱意と責任によってしか守れません。
目先の集客や利益をひたすら追求するだけだと、どちらも共倒れになっていくのかもしれません。

だからこそ、
今このタイミングで、ジュニア育成現場の価値構造を再設計しなければいけないように感じています。

もし、あなたのクラブやスクールにおいて

  • 外部との連携を戦略的に進めたい
  • 内製化された育成環境をつくりたい
  • コーチと選手の信頼を守りながら新しい挑戦をしたい

という考えがあれば、一度ご相談ください。
スイミングスクールや競技団体からの、お仕事の依頼であれば、ぜひ協力させていただきます。

最後に

しっかりと真っ当に、ジュニア育成の拠点となるスイミングと連携しながら、業界をより良くしようとしている人たちもいるからね。Bonbell.の細川さんとか、Style1の草野さんとか。

資本主義の社会だから、淘汰されていったりするのは当然なんだと思います。プールを自分たちで持つスイミングスクールの事業構造自体も過渡期なのかな。

だからこそ、問題をしっかりと見て動いていきたいですね。
困ったら相談してね。私も仕事として引き受けるなら、できる範囲で頑張るよ。

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この記事を書いた人

山﨑 裕太のアバター 山﨑 裕太 コーチ

アスリートのコーチングが仕事
オリンピック選手指導
趣味は飲みニケーション
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