競技技術を考えるときに、避けては通れない道があります。バイオメカニクスの道。
バイオ(生物)メカニクス(力学)
競技の技術という運動には、人体の解剖学や力学的なものが関与しています。
技術の向上や、トレーニングを効果的に進めるために必要な視点であると言えます。
今記事では、水中ドルフィンキックについてのバイオメカニクスを解説した研究論文をご紹介したいと思います。
論文紹介
題名:Three-dimensional lower-limb kinematics during undulatory underwater swimming
著者:Yuji Matsuda , Masaki Kanekoら
公開日:2021年11月17日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34784836/
論文結果:ドルフィンキックは3D(3次元)だよ
✅股関節の内旋/外旋のピーク角速度は、泳速度と有意な相関が見られた。
✅股関節の内旋は”ダウンキックの開始時”に、外旋は”ダウンキックの終了時”に観察された。
実験内容:水中ドルフィンキックをモーションキャプチャで調べたよ
<参加者>
・男性の競泳選手26名が実験に参加(FINAポイント820〜920の国際レベル選手が7名、FINAポイント630〜780の国内レベル選手が19名)
<実験内容>
・20mの水中ドルフィンを全力で3回実施(12.5m〜20mの区間を動画撮影)
・動きを測定するための反射マーカーを体に貼り付けた(モーションキャプチャシステム)
私見まとめ
ドルフィンキックは3次元的に考えようぜ〜
股関節の回転運動(内旋・外旋)が大切だぜ〜
上記のようなことが、競技コーチの現場では語られることが多いです。
そのような現場的な感覚に対して、裏付けを与えてくれたような研究でした。ありがとうございます。
研究で示された事実をどのように受け止めるか?活かしていくか?
動作に関する研究結果から
『ドルフィンキックが速い人ほど”股関節の内旋・外旋”運動が速い』
これが、事実として示されました。
競技に直結させてみるパターン
「内外旋を速く動かしてみよう!」
って感じの考えと行動。分析的な視点。
競技動作を切り取って練習してみるパターン
「内外旋を速く動かせるように前後の動作を見直してみよう!」
って感じの考えと行動。競技コーチ的な視点。
競技動作を獲得するために必要条件を揃えてみるパターン
「内外旋に関係する筋力や柔軟性を高めてみよう!」
って感じの考えと行動。トレーナーやトレーニング指導者的な視点。
トレーニング指導者の視点から
3人称で考える
トレーニングプログラムを作成するときは3人称を使います。
客観的な立場から。
2人称で考える
トレーニング内容を実際に説明するときなどは2人称を使います。
共感的な立場から。
1人称で考える
評価をするときや振り返りをするときは1人称を使います。
主観的な立場から。
最後に(当たり前のまとめ言葉)
多くの人が速くなるためのトレーニング方法と
あなたが速くなるためのトレーニング方法は、必ずしも同じではありません。