トレーニング計画の設計において「心理や感情」を無視しちゃわないようにね

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アスリートの競技スポーツ指導において、長年信じられている「ピリオダイゼーション(期分け)」は、トレーニング計画の柱として機能してきました。

しかし、これまでのトレーニング方法論は、選手のパフォーマンスを高めるための最適なアプローチであると確信していたものの、現代の科学的な洞察と実践に照らし合わせると、その限界が見えてきました。

本記事では、従来のピリオダイゼーション理論に対する新しい視点を提供し、これからのスポーツ指導においてどのようなアプローチが有効であるかを探ります。

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目次

従来の課題

ピリオダイゼーション理論は、トレーニング負荷を段階的に調整することで、選手のパフォーマンスを最適化することを目指しています。

この理論は、規則的なトレーニング計画を策定し、その計画に従って進行することで、選手の体が順応し、成果が得られると考えています。しかし、この理論にはいくつかの問題点があります。

まず、ピリオダイゼーションは、すべての選手が同じようにトレーニングに反応するという前提に基づいていますが、実際には選手ごとの反応は大きく異なります。

その中でも特に、選手の精神的・感情的な状態が考慮されていないため、ストレスや不安がパフォーマンスに与える影響が過小評価されています。

参考文献(2018:John Kiely

これからのアプローチ

これからのスポーツ指導では、選手個々の精神的・感情的な要素をトレーニング計画に組み込むことが不可欠でしょう。

トレーニング期間が進むに伴って、選手の感情や期待、信念、そして不安などを定期的に評価し、それに応じて計画を柔軟に調整する必要があるように思います。

選手との信頼関係を築き、フィードバックを積極的に取り入れることで、選手がトレーニングに対して持つ「目的意識」や「自己効力感」を高めることができます。

また、トレーニングの一環として、ストレス対処法や感情の制御スキルを養うことも重要です。

これにより、選手はトレーニング中の感情的な負荷に対処しやすくなり、パフォーマンスの安定性が向上します。

さらに、トレーニング計画自体も、ロボット的な負荷の調整だけでなく、選手の心理状態に合わせて動的に変化させることが求められています。

私見まとめ

スポーツ指導者として、選手のパフォーマンスを最大限に引き出すためには、従来の固定観念にとらわれない柔軟なアプローチが必要でしょう。

ピリオダイゼーション理論の枠を超えて、選手一人ひとりの精神的・感情的なニーズに寄り添ったトレーニング計画を策定しましょう。

選手からのフィードバックも注視し、感情の調整を取り入れたトレーニングを通じて、選手が自信を持って競技に取り組めるようサポートしてください。

現代のスポーツ科学と指導法を取り入れた新しいトレーニングアプローチが、選手のさらなる成長と成功をもたらすでしょう。

とは言っても課題が多い

心理面や精神面の数値化(定量的な評価)は、トレーニング計画を進行するにあたっての大きな課題の一つです。

これまでの研究では、身体的なパフォーマンスの測定は比較的容易に行える一方で、脳を含めた心理面や精神面の状態を定量的に評価することは、複雑で難しい。

主な課題

・心理的・精神的状態の主観性: 選手の感情や精神状態は非常に主観的であり、定量的に測定するのが難しいです。例えば、ストレスやモチベーションは個人差が大きく、同じ状況でも異なる反応を示すことがあります。

・測定ツールの限界: アンケートや自己評価スケールなどのツールは、選手の心理状態を把握するために広く使用されていますが、これらは主観的な回答に依存しているため、正確性に限界があります。

・脳の複雑さ: 脳の活動や心理状態を直接測定する技術はあるようですが、これらのデータをスポーツ現場での実践的な指導に結びつけるのは容易ではありません。また、これらの技術はコストが高く、利用が制限されることもあるでしょう。

解決の方向性

・複数のデータソースの統合: 心理的・精神的な評価を改善するために、主観的評価だけでなく、心拍変動や睡眠パターンなどの生理的データも併用するアプローチが提案されています。これにより、さらに総合的で客観的な評価が可能になるかもしれません。

・AIや機械学習の活用: 大量のデータを解析するために、AIや機械学習が活用されているようです。これにより、個別の選手に合わせた心理状態のモデル化や予測が可能になるかもしれません。


われわれのような現場の人間が、現状できることとして、数値データだけに頼らず、選手とのオープンなコミュニケーションを通じて、感情や精神状態の変化を把握することも大切です。

心理面や精神面の数値化・定量化は課題ですが、その解決に向けた取り組みが進んでおり、これがスポーツ指導における新たなアプローチの基礎基盤となりつつありますね\(^^)/

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