「休んだから速くなった?」「勝てば正解?」原因と結果の関係について考えてみよう

結果が出たとき、「あぁ〜、アレが良かったな〜」と考えることありますよね。

スポーツの結果に対する原因って、分かるようで何か一つに特定することは殆どの場合、不可能に近いものだと思います。

「結果として速ければOK!! 勝てば正解でしょ!」

というような結果論のみで語るのは、過程や手段の検証を蔑ろにしてしまうようで、なんだか寂しいな〜。と個人的には感じてしまいます。

負ければ終わり(次は無い)というケースも現実問題としてあるでしょうし、もちろん良い結果を出すために歩みを進めて行くのですが、、良い結果を出すためには結果論で終わらせないことが必要なのかもしれません。

このような答えの無いであろう、あやふやなテーマについて恐る恐る記事を書いていこうかと思ってしまいました。

目次

論文紹介①:11週間のトレーニング休止(detraining)が水泳パフォーマンスに与える影響を調査

題名:How does 11-week detraining affect 11-12 years old swimmers’ biomechanical determinants and its relationship with 100 m freestyle performance?
著者:Jorge E Moraisら
公開日:2020年3月5日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32131697/

論文結論:トレーニング休止によってタイムは遅くなったが、身体は成長してタイムの落ち幅は抑えられたのではないか。

■11週間のトレーニング休止後、100mパフォーマンスは低下。

■11週間のトレーニング休止後、身体測定の数値は向上していた。

論文内容:

・54名の水泳選手(男性22名/女性32名)

・年齢は男性12歳前後/女性11歳前後

・国内大会の年齢別チャンピオンなども被験者には含まれていました。

・シーズン最後に100m自由形を計測。その後11週間のトレーニング休止後、再度100m自由形を計測

・100m自由形パフォーマンスを分析した他、期間前後で身体測定も実施されました。

論文紹介②:4週間のトレーニング休止(detraining)が水泳パフォーマンスに与える影響を調査

題名:Effects of detraining in age-group swimmers performance, energetics and kinematics
著者:Rodrigo Zaccaら
公開日:2019年7月
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30714478/

論文結論:トレーニング休止後のタイムは低下していた。

■トレーニング休止後の400mパフォーマンスは3.8%低下。

■トレーニング休止後の400mトライアルでは、有酸素性エネルギーが約1.8%減少、無酸素性エネルギーが約1.6%上昇

■トレーニング休止後の400mトライアルでは、SL(ストローク長)の変化は見られなかったが、SR(ストロークレート)が低下していた。

■トレーニング休止後、身体測定の数値(身長や腕の長さ)は向上していた。

論文内容:

・15名の水泳選手(男性22名/女性32名)

・平均年齢は14歳

・シーズン最後に400m自由形を計測。その後4週間のトレーニング休止後、再度400m自由形を計測

・400m自由形パフォーマンスを分析した他、期間前後で身体測定も実施されました。


私見まとめ

「A」をやったら「B」になった。

すべての現象には「原因と結果」がある。これはその通りかもしれません。

しかし、スポーツ活動における「結果」に対する「原因」を明確に把握することは難しいでしょう。

例えば、
「筋トレ」したら「速く(遅く)」なった。

この場合、「筋トレ」が原因で結果として「速く(遅く)」なったという理解になりがちです。

良い結果が出た「やり方」が正解となってしまう…。そんな結果論で語られるのがスポーツの現場です。

論文を読むときも、誰かから教えてもらうときも「ツールの一つを教えてくれてありがとう!」というスタンスで自分自身の糧としていければ良いな。と思います。

これが現時点での私のスタンス

出てきた結果は冷静に受け止めて(結果論者にならない)、結果が良くても悪くても、現時点でよりベターだと思われる手段を取り入れ、大胆に実践していきたい。

スポーツの現象において、因果関係が明確に分かることはほとんど無いでしょう。

だからといって、競技力向上のためにアレもコレも取り入れたりすることは無理です。

時間は有限ですので、ケースごとに確率の高い優先順位というのはあると思います。

様々な経験・体験からの知見、論文やデータからの情報、そのような膨大な人知を学んで現場に活かしていきたいと考えています。

なんかいっつも同じこと言ってる気がするな…。。結果論者になってしまう自分への戒め。

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