クロールを泳いでいると、
速度(タイム)によって、ローリングの範囲や速さを自分自身で変わっているのが分かります。
個人的には、泳速度が遅いほど、腰のローリング(腰の揺れ具合)が大きいように感じています。バタ足の蹴り幅が大きくなるからかな??
今回の記事では、
クロールでの、25mスプリントと400mハードとの「運動学的な違い」についてを調査した論文をご紹介していきます。
論文紹介
題名:Kinematic Differences in Shoulder Roll and Hip Roll at Different Front Crawl Speeds in National Level Swimmers
著者:Jordan T Andersenら
公開日:2020年1月
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31567840/
論文結論:400mハードよりも、25mスプリントのほうが「胴体のねじれが大きかった」
■25m・400mどちらの泳速度でも、肩のローリング範囲は同様でした。
■400mハードよりも25mスプリントのほうが、腰のローリング範囲が小さかった。
■当然ですが、400mよりも25mスプリントのほうが、泳速度が高く・ストローク頻度も高かった。
論文内容:スコットランドの競泳選手が実験に参加
・13名の男性選手(年齢15-22歳、平均身長181cm、平均体重71kg)
・全員のベストタイム(短水路)が、50mクロール24.6秒未満・400mクロール4分10秒未満でした。
・ウォームアップ後、25mスプリントを4本(2分サイクル)と400mハードの2種類の試験を実施。
・身体の各部位にモーションキャプチャのためのマーキングをして泳ぎました。
私見まとめ
400mハードに比べて、25mスプリントで泳速度もストローク頻度も高くなった。という結果は当然ですが、
両者間で、
■肩のローリング範囲は【変化なし】
■腰のローリング範囲は【25mスプリントの方が小さい】
このような結果が示されたのは勉強になりました。
腰のローリングが減少するのは、
泳速度を上げるために、バタ足の強さも頻度も高まることが影響しているのだと考えられます。
論文結論で書いた「25mスプリントの方が、ねじれは大きい」という表現に疑問を持たれる人もいるかも知れません。少し説明してみます。
私は「ねじれ」という表現を用いましたが、論文中では「twist」と書かれています。
「肩」と「腰」の回転が同時に同方向となれば、ねじれは生まれません。
胴体の「ねじれが大きくなる」というのは、肩ローリングと腰ローリングが異なる回転をしているということになります。
泳速度の向上と高い速度の維持には、この「ねじれ」を生み続ける胴体(コア)の筋力も大きく関与してきそうです。。
※詳細な論文内容や測定結果などを知りたい方は、論文の全文へアクセスを。
「DASHオンライン」コミュニティ内でも私見を深堀りして解説する予定です。