抵抗水着(ドラッグスーツ)での練習効果はあるのか?

水泳選手の練習で、あえて水の抵抗を大きくするためのアイテム「抵抗水着」というものがあります。

通常の水着よりも負荷を与えて、技術や体力を向上させようとするために使われているようです。

今記事では、「抵抗水着(ドラッグスーツ)」のトレーニング効果を調査した研究論文をご紹介したいと思います。

目次

論文紹介

題名:The Effect of Drag Suit Training on 50-m Freestyle Performance
著者:Dragunas, Andrew J ら
公開日:2012年4月
https://journals.lww.com/nsca-jscr/Fulltext/2012/04000/The_Effect_of_Drag_Suit_Training_on_50_m_Freestyle.15.aspx

論文結論:50m6本テストでは、タイム短縮は見られなかった。しかし、その他のパラメーターでは変化が見られた。

✅5週間のトレーニング期間後に実施された50m6本テストでは、抵抗水着グループ・通常水着グループどちらも有意なタイム短縮は認められなかった。

✅抵抗水着グループは、5週間のトレーニング後、通常水着を着用した状態では1ストロークあたりの距離に変化がなかったのに対し、通常水着グループでは1ストロークあたりの距離が減少していました。

論文内容:5週間のトレーニング期間によって調査

■18名(男性10名/女性8名)の大学生水泳選手が実験に参加しました。

■2つのグループに別れて5週間のトレーニングが実施されました。
・抵抗水着グループ(9名)・通常水着グループ(9名)

■トレーニング実験期間の開始前と終了後に「50m×6本」のテストがそれぞれ2回ずつの計4回実施されました。(抵抗水着でのテストと通常水着でのテスト)

■5週間のトレーニング期間が設けられました。
両グループとも、1週間のうち3回のトレーニング(スプリント)メニューのみが設定されました。そのトレーニングメニュー時のみ抵抗水着グループでは「抵抗水着」を着用しました。

※詳細なトレーニング内容などはリンクの論文をご確認ください。

私見まとめ

今回ご紹介した研究論文内では、

「抵抗水着を着用したトレーニングではタイム短縮に対して効果が無かった」という結論となりました。

だからと言って、抵抗水着は意味がない。と結論付けるのは安易すぎます。

このように安易に結論だけを鵜吞みにしてしまう人は、研究論文や科学というのは
「ある一定の条件下において」導かれた結果である。という認識を持つべきでしょう。


50m6本テストのタイムに変化がなかったことを前提に考えると、

通常水着グループではトレーニング期間後に、「1ストロークあたりの進む距離が減少」「ストロークレートの増加」が見られました。これはつまり【ストローク数が増えた】ということに言い換えられます。

一方で、

抵抗水着をトレーニングで使用したグループでは期間後に、「1ストロークあたりの進む距離を維持しやすくなる傾向」や「ストロークレートの維持」が見られました。

これらは言い換えると、【ストローク数を変化させなかった】ということになります。

どちらのグループでも同様のスプリントトレーニングを5週間に渡って実施したにも関わらず

「通常水着を着用したグループ」では、ストロークテンポが上がり、ストローク数は増えたがタイムは変わらなかった。

「抵抗水着を着用したグループ」では、ストロークテンポもストローク数も変化はなかった。

このように解釈しました。これは言い換えると、抵抗水着の着用でスプリントトレーニングを実施していっても「いままでの技術を損なうことなく」トレーニングを進行できるかも。と推測できます。少し大げさな解釈かもしれませんが。。

これで50m6本テストのタイム短縮が有意にあったら「抵抗水着バンザイ」だったのですが…。

では、どういったケースで抵抗水着を使用するのが良いか?という点で考えると、

「前半にテンポが上がりすぎて、後半ガタ落ち」というようなタイプの選手は、抵抗水着の使用を試みてはどうでしょうか。

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