個人競技アスリートのメンタルの課題について

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「アスリートはメンタルが強い」
この言葉を聞いて、どんな人を思い浮かべますか?

強い精神力でどんな困難も乗り越えるストイックなアスリートでしょうか?それとも、周囲の支えを受けながら競技に励む選手でしょうか?

「個人競技のアスリートほどメンタルヘルスの課題を抱えやすい」という調査結果が発表されています。競技成績に関わらず、多くの個人競技アスリートが「不安」や「うつ」のリスクを抱えているそうです。

しかし、ここで重要なのは、「メンタルが強い=1人で耐える力がある」ではないということ。
むしろ、「メンタルが強いアスリートほど、意識的に仲間とのつながりを大切にしている」のです。

では、個人競技に取り組むアスリートは、どうすれば「仲間と励まし合う環境」を作り、メンタルを強化できるのでしょうか?
今回の記事では、個人競技のアスリートのメンタルについて考えていきたいと思います。

目次

読者に伝えたいこと・考えてほしいこと

もしも個人競技のアスリートなら、こんな悩みを抱えたことがあるかもしれません。

  • 自分の成績がすべてだから、失敗が怖い
  • チームスポーツの選手が楽しそうに見える
  • うまくいかないと、自分を責めてしまう
  • 「自分だけが頑張っている」と感じる

これらは決して、メンタルが弱いわけではなく、「個人競技という競技特性」が生み出す、メンタルの課題です。
そして、これを乗り越えるためには、「仲間と共に励む環境」を意識的に作ることが助けになるかもしれません。

「でも、個人競技なんだから、1人でやるのが当たり前なんじゃないの?」

そう思うかもしれません。しかし、トップアスリートたちは、ただひたすら孤独に耐えるのではなく、「仲間と励まし合える環境を積極的に作ること」を重要視している人も多いのです。

研究論文の紹介 – 個人競技アスリートとチーム競技アスリートの比較

題名:Team Sport Athletes May Be Less Likely To Suffer Anxiety or Depression than Individual Sport Athletes
著者:Emily Pluharら
公開日:2019年8月1日
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6683619/

個人競技アスリートはメンタルヘルスのリスクが高い

こちらの研究では、「個人競技」と「チーム競技」のアスリートを比較し、メンタルヘルスの状態を調査しました。その結果、以下の傾向が明らかになりました。

① 個人競技アスリートの方が、不安やうつの傾向が強い

  • 失敗の責任が100%自分にあるため、プレッシャーが大きい
  • 自己批判の傾向が強く、ネガティブな感情を引きずりやすい

② チームスポーツの選手は「仲間」がメンタルの支えになっている

  • チーム内で支え合える環境があるため、孤独を感じにくい
  • 失敗しても「チームに貢献する役割」があるため、自信を失いにくい

③ 「楽しさ」を競技のモチベーションにしやすいのはチームスポーツ

  • チームスポーツでは「仲間と一緒にいること」自体がモチベーションになりやすい
  • 個人競技は「記録を伸ばす」「試合で勝つ」など、結果がすべてになりやすい

この結果から、個人競技アスリートは「孤独」との戦いがメンタルヘルスに大きな影響を与えることが分かります。

しかし、逆に言えば、「仲間と励まし合える環境」を意識的に作ることで、メンタルリスクを軽減できるということです。

私見まとめ – 「仲間と励まし合える環境」をつくるために

① リアルな仲間との関係を大切にする

個人競技でも、「1人でも頑張るべき」という固定観念を捨てることから始めましょう。
実際に「仲間と共に励む環境」を作れているアスリートの方が息が長いです。

例えば…
✅ トレーニングパートナーを作る(競技は違ってもOK)
✅ 合同トレーニングに参加する(刺激を受ける機会を増やす)
✅ 試合や遠征で積極的に他の選手と交流する(孤独感を減らす)

② オンラインの「仲間感」を活用する

リアルな環境が難しくても、今はSNSを通じて「仲間とつながる」ことができる時代。
しかし、ここで大切なのは、アスリートが「憧れの存在」になるのではなく、「一緒に頑張る存在」として発信することです。

例えば…
✅ 競技と全く関係ないこと8割、競技のこと2割くらいで発信してみる
✅ 「うまくいかない日もあるよね」と、チャレンジしたことや失敗したことの等身大をシェアする

こうした発信をすることで、SNSが「競技結果を発表するだけの場」ではなく、「アスリートを身近に感じられる場」として活用していけるでしょう。


私見まとめ

競技を続けていく上で、技術や体力だけでなく「環境づくり」も重要だね。特に、仲間の存在は大きな支えになる。努力を認識してくれる人がいる、共に頑張れる人がいる、それだけで競技に向かう気持ちは前向きになりやすいものです。

もし、身近に同じ方向を見て励んでいる仲間がいるなら、ぜひ大切にしてね。一緒に練習するだけでなく、日々の悩みや成長を共有することで、競技へのモチベーションも高まるでしょう。

また、SNSをうまく活用することもオススメ。SNSでは、遠く離れた人とも繋がることができます。ただし、大切なのは「キラキラした憧れられる存在」のようなスゴい人になろうとするのではなく、「一緒に頑張りたい」と思われる存在になること。努力や挑戦の過程をリアルに発信することで、同じように頑張る人たちとのつながりが生まれ、自然と身近に感じられる存在になりやすい。

※天性の「キラキラした凄さ」を兼ね備えている人は、こんな活用方法を意識しなくていいからねwもっと世の中にキラキラを振りまいて突っ走ってくださいw


さらに、競技を長く続けるためには 期待値の調整も欠かせない。常に高い目標を掲げすぎると、結果が出なかったときに大きなストレスを感じがち。大事なのは、「勝ち負け」だけにこだわらず、「この過程を楽しもう」「今日はこれをできるようになろう」と、自分自身が取り組みやすいメンタルをつくること。

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個人競技のアスリートでも、仲間と共に励むことで、より楽しさを感じながら続けることができるでしょう。 リアルでもオンラインでもいいので、「自分の身の回りの環境」に意識を向けてみましょう。 そうすると、競技への向き合い方がきっと良い方向へ変化するはずだね。

ただし、一人孤独にやるべきことをやる時間も必要な場面も多い。以下の記事もあわせて読んでみてね。

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経営者とか個人事業主の人とかは、個人競技アスリートと置き換えて読んでもらっても良いかも\(^^)/

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