東京大学の学生たちが、学童期にやっていた習い事ランキングの上位には
体を動かすスポーツ系の習い事が多い。
中でも【習い事ランキング1位】は
スイミングスクールだそうです。素晴らしい。
頭の「良し悪し」については、様々な要素があるかと思います。
今回の記事で取り上げる論文中では【認知機能】に焦点を当てています。
認知機能をチェックする
・ストループテスト
・トレイルメイキングテスト
この2つが用いられています。
このような視点からも
高強度トレーニングの利点があるもんだな。と感心しました。
そして、今回紹介する論文を読みながら
「脳を鍛えるには運動するしかない」という書籍のことを思い出しました。
今から10年以上前に発行された本ですが、
読み返すと「そうだよな〜」と考えさせられる部分が多々ありました。
運動指導者の方々は是非とも一読をオススメします。
論文紹介
題名:Acute Sprint Interval Exercise Increases Both Cognitive Functions and Peripheral Neurotrophic Factors in Humans: The Possible Involvement of Lactate
著者:Sylwester Kujachら
公開日:2020年1月23日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6989590/
論文目的
高強度の運動をすることで、
認知機能が向上することは過去の研究からも示されています。
(2010:Knaepen Kら)(2012:Alves CRら)(2018:Kujach Sら)
しかし、効果の神経生理学的なメカニズムは分かっていません。
そこで、この研究では
・血中乳酸値の濃度
・BDNF(脳由来神経栄養因子)
・IGF-1(インスリン様成長因子)
・VEGF(血管内皮成長因子)
これらを観察し評価することを目的としました。
論文結論
SIE(スプリントインターバルエクササイズ)は、
前頭前野に関する
【認知能力の改善に有益】であることを示唆しています。
SIEによって、血中乳酸レベルは大幅に増加。
BDNF、IGF-1、VEGFのレベルの増加と相関しました。
さらに、認知機能とBDNFは相関していることがわかっています。
SIEが認知機能に有益な影響を与え、ヒトの末梢LA濃度とともに神経保護因子が増加する可能性があることを示唆しています。
私見まとめ
【乳酸】の新たな一面といいますかね。
血液脳関門を通過し、脳でも利用される乳酸。
悪者扱いされてきた分、これからもっと認識され重宝されていくことでしょう。
高強度の運動について調べていると、
「良いこと」ばかりの結論が目に入ってきます。
今回の「高強度運動と認知機能」については、
低強度の持久的運動でも認知機能は向上が見られる。
(2012:Alves CR)
というような結果もあります。
各個人の合う合わないという問題もあると思いますが、
効率的に、狙った能力を伸ばせるのならそちらを選択していきたい。