水泳の技術・テクニックを向上させることは、多くのスイマーにとって永遠のテーマです。
SNSなどで、新しい練習法やトレーニング理論が次々と紹介される中、どうすれば効率的に自分の泳ぎを改善できるのか、迷うこともあるでしょう。
今回の記事では、動作パターンを変えるための本質的なポイントと、”筋肉の使い方を再教育”するためのアプローチに関する考え方についてご紹介します。
技術的な課題に直面したとき、どのように対処すればよいのかを理解することで、あなたのパフォーマンス向上に新たな視点を提供できればと思います\( ˆoˆ )/
動作パターンを変えるために必要なこと
動作パターンの改善は、効率的な筋肉の使い方を学び、筋肉のアンバランスを解消することから始まります。例えば、肩や腕などの過度に使われる筋肉を少し抑え、その反対に、普段はあまり使われていない筋肉を活性化させることが重要です。この再教育のプロセスでは、特定の筋肉群に焦点を当てた運動を繰り返し、筋収縮の力加減を調整することで、正しい動作パターンを体に覚え込ませます。
ペンチプレスでの研究論文の紹介
✅ベンチプレスのトレーニングにおいて特定の筋肉(大胸筋)をターゲットにしたトレーニングが、その筋肉の活動を著しく向上させることが示されました。この研究では、10週間にわたるターゲットトレーニング後に、ペンチプレス動作中の大胸筋の活動が大幅に増加したことが確認されています。コントロールグループと比較しても、ターゲットトレーニングを行ったグループの方が、明らかに筋肉の活動が向上。この結果は、特定の筋肉に対する意図的なトレーニングが、全体の動作効率を高めるために有効であることを示しています。
題名:Neuromuscular Repatterning of the Pectoralis Major During the Bench Press Exercise Following a 10-week Targeted Resistance Training Intervention
著者:Katarzyna Stronska-Garbienら
公開日:2024年9月1日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC11367169/
▶︎実験参加者
・最低5年間の筋力トレーニング経験を持つ16人の男性が参加。
・1回の最大挙上重量(1RM)は約100kgでした。平均年齢、体重、身長はそれぞれ27歳、87kg、179cm
▶︎実験内容
・8人ずつの実験群と対照群の2つのグループで筋活動を分析しました。大胸筋のターゲットトレーニングを10週間行う前後に、筋活動を筋電図(EMG)で評価。
・10週間にわたり、実験グループはターゲットトレーニング(大胸筋)とベンチプレストレーニングを行い、対照グループはベンチプレストレーニングのみを行いました。
・実験グループは、ターゲットトレーニングエクササイズを実施(マシンチェストフライ、ダンベルフライ、ケーブルチェストフライ)
※その他、詳しい実験内容は論文フルテキストを見てね。
「〇〇を使って泳げ」と言われたら
水泳のコーチングでは、「背中を使って泳げ」や「腰を使って泳げ」という指導をよく耳にします。
しかし、ただ意識してもらうだけでは不十分なのです。
まずは、その部位の筋肉が十分に活性化されているかを確認する必要があります。もし不十分であれば、ターゲットトレーニングが必要です。
たとえば、特定の筋肉を強化するための陸上トレーニングや、プールでの補助的なドリルが効果的です。これにより、その部位が正しく動作に関与し、全体の泳ぎがスムーズになります。
Instagramでは、いろんな水泳テクニックを紹介しているよ(^ ^)
私見まとめ
水泳技術の向上には、ひたすら泳ぎ続けるだけではなく、筋肉の使い方を改善・向上させるためのアプローチがとっても重要だね。なんとなくたくさん練習して技術の向上を願うのはただのギャンブルみたいなもんだよ。
今回紹介したペンチプレスの研究は、特定の筋肉にターゲットを絞ったトレーニングが、動作パターンにどれだけ寄与するかを示しています。
こういったアプローチは、もちろん水泳にも応用可能です。より良い動作パターンを身につけるには時間がかかるけれど、技術が向上し競技成績が大きく向上する可能性があるね。コーチ・指導者の皆さま、ヒントにしていただき担当選手に活用してください\(^^)/