5月24日(日)19:00〜
オンラインで【Backstroke Start】(背泳ぎのスタート)についてのお話を聞きます。
私自身の予習としても、この機会に「背泳ぎのスタート」に関する論文をいくつかご紹介したいと思います。
バックストロークレッジ(Omega OBL2)使用の有無を比較
論文結論
バックストロークレッジを使用すると、
10m通過タイムが短縮され、飛距離(head entry distance)の向上も見られました。
論文内容
<参加者>
カナダのエリートスイマー10名(男性6名/女性4名)が実験に参加。
「バックストロークレッジあり」3回
「バックストロークレッジなし」3回
こちらで比較されました。
論文題名:Backstroke start performance: the impact of using the Omega OBL2 backstroke ledge.
著者:Barkwell GEら
公開日:2018年11月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28975846
構えたときの「膝関節角度」について
論文結論
膝関節の角度の違いによって、10m通過タイムへの違い(統計的な有意差)は見られませんでした。
※膝がより曲がっていたほうが速かった人もいれば、より伸びていたほうが速かった人もいた。
論文内容
<参加者>
カナダのエリートスイマー10名(男性3名/女性7名)が実験に参加。
膝関節の角度を2種類で比較(画像はコチラ)
論文題名:Different Lower-Limb Setup Positions Do Not Consistently Change Backstroke Start Time to 10 m
著者:Gordon E. Barkwellら
公開日:2020年3月31日
https://www.mdpi.com/2075-4663/8/4/43/htm#app1-sports-08-00043
握り方(水平か垂直か)の比較
論文結論
水平で握ってスタートする場合は、手足にかかる力の、左右非対称性が高くなる可能性があります。
この力の左右非対称性は、背泳ぎスタートパフォーマンスを妨げるかもしれません。
論文内容
<参加者>
9名(男性)の背泳ぎ選手(全国大会出場レベル)が実験に参加。
フォースプレートという、手足にかかるチカラを測定する機器を用いた実験。
参加者には、利き手・利き足を申告してもらって、左右の対称性を調査しました。
論文題名:Lateral kinetic proficiency and asymmetry in backstroke start performed with horizontal and vertical handgrips.
著者:De Jesus Kら
公開日:2018年11月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30422057
私見まとめ
背泳ぎのスタート動作においても、やはり各個人のオリジナルな動作が良い。
というか、各個人の身体的特徴に合わせた動作がパフォーマンス向上に繋がる。
そのようなイメージを持っています。
ですが、その中でも
成功や失敗の「傾向」を知ることで、さらに少しでもパフォーマンスを高めることが重要だと考えられます。
バックストロークレッジを使用すれば
垂直(上)方向へのチカラは発揮されやすくなります。
それによって飛距離をアップさせることは可能となりました。
上方向へのチカラが発揮されやすいですが、
身体を進行方向へチカラを発揮させるためには、適切に姿勢をコントロール出来るようになる必要があります。
このように、特徴を把握することで
指導者であれば、選手へより良いアドバイスが出来る可能性が高まるでしょう。
とりあえず、
背泳ぎで飛距離を出したかったら「バーベル・バック・スクワット」で、しゃがむ深さはフルでやっていきましょう。