【水泳練習】(200m×10本)vs(50m×10本)効果検証

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No.84の記事でも、量や強度に関するトピックを取り上げました。

私見としましては、
「量」(ボリューム)をこなすコトは、技術向上や技術獲得を目指す際には必須であると考えています。

「質」(強度)を高めるために、「量」をこなす。
あくまで「質」を中心とした練習内容となるはずだと思います。

今回の記事では、
水泳トレーニングにおける「量」と「質」を比較したような研究論文をご紹介します。

目次

私見まとめ

今記事をまとめている中で、

1回ずつの練習において、向上させる能力や狙いを定める。

ということの重要性を再認識させられました。

1回の練習で狙いを1つに定めてみる

無酸素性エネルギー回路が動員される強度で運動すると、乳酸が生成されます。その乳酸は、筋肉や心筋へ運ばれ、ミトコンドリア細胞内で運動エネルギーとして再利用される。ということが分かっています。なので、いわゆるスピード持久と言われるような能力に貢献すると考えられます。

つまり、ざっくり考えてみると

✅「ミトコンドリアを増やす」ことを狙いとする練習と

✅「乳酸をリサイクルする回路を働かす」ことを狙いとする練習とでは、

内容が若干異なってくるのではないかと考えて日々のメニュー作成に反映しています。

SIT(スプリントトレーニング)は、HIHVTと比べると

・嫌気性エネルギーが利用される比率が大きい。

・血中乳酸濃度は高い。

・筋肉損傷(ダメージ)が大きい。

HIHVT(高強度/多量トレーニング)は、SITと比べると

・より多くのエネルギーが利用されている。

・血管新生シグナルが強い。

・ミトコンドリア生合成シグナルの強さが大きい可能性が高い。

以上のようなことを読み取りました。

いつも述べているようですが、
このような研究を、我々現場の人間がどのように活かすか。
そこが指導者も選手も腕の見せ所です。

歩みを止めない。学んで・実践する姿勢(ココ重要)が指導者にも求められています。


論文紹介

High-intensity high-volume swimming induces more robust signaling through PGC-1α and AMPK activation than sprint interval swimming in m. triceps brachii
著者:Rafael A. Casusoら
公開日:2017年10月3日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5626429/

内容:水泳トレーニング「200m×10本」と「50m×10本」を比較しました。

9名の男性スイマーが実験に参加しました。
平均年齢23歳(19〜26歳)
25m最大泳速度の平均2.0m/s(1.88〜2.1m/s)※プールの中から壁をけって計測。

●高強度・高ボリュームトレーニング(HIHVT : High Intensity High Volume Training)
200m×10本(速い平均タイムを維持)を40秒レストで実施しました。
※合計所要時間は約31分でした。

●スプリントインターバルトレーニング(SIT : Sprint Interval Training)
50m×10本(全力泳)を4分サイクルで実施しました。
※合計所要時間は36分でした。

※それぞれの実験で、
・心拍数
・採血(血中乳酸値)
・採血(筋肉損傷マーカー)CK/LDH
・筋肉生検(上腕三頭筋)
以上を比較の数値として計測しました。

結果:SITの方が血中乳酸濃度は高く、HIHVTの方が筋損傷は少なくてPGC-1α(ミトコンドリア生合成因子/血管新生因子)増加などに関与が見られた。

結果①:心拍数の違いは見つからなかった。

結果②:血中乳酸値はSITの方が、実験後3分/7分/15分の全てで数値が高かった。

結果③:筋肉損傷マーカー(CK)は、SITの直後で明らかに高値であった。

結果④:AMPK、VEGF-Aの増加がHIHVTの3時間後に明らかであった。

※他にも多くの結果が論文中には示されております。興味がある方は本文をご覧ください。

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