「練習は強いのに、本番レースではタイムが出ないんだよね~」
こんな内容の相談質問をもらうことがあります。
実際にどんな練習内容が強いのか聞くと、100mハード×20本などのハイボリューム練習が強いとのこと。その選手は主に100mレースに出場する人なのに…。
競技パフォーマンスには、様々な要因が関わっています。
大きく分けたら【心技体】のような、メンタリティ・競技技術・筋力体力などたくさんの能力や状態が関係していることでしょう。
今記事で紹介したいのは、
「競技パフォーマンス」と「練習内容」との相関関係についてです。
私的な主張としては、
①「競技」と「練習」を結び付けて分析・評価する視点も持とうね。
②競技パフォーマンスを高めるために、トレーニングにおける『優先順位を決めて取り組んでみよう』ということです。
論文紹介
「100m自由形のレース」と「50m×4本のSIT練習」との相関関係を調査
<実験参加者>
■27名のジュニア水泳選手(女性16名/男性11名)平均年齢16歳
■長水路ベストタイムの平均は、
(男性:50m自由形26秒、100m自由形56秒)
(女性:50m自由形28秒、100m自由形61秒)
■週6回以上のトレーニングを実施しており、4年以上の競技歴がある集団
論文結論:「100m自由形トライアル」と「50m×4本テスト」との間に相関関係が認められた。
100m自由形のトライアルと50m×4本の全力自由形テストを異なる日に実施して比較した。
✅血中乳酸値・泳速度・ストロークレート・ストロークインデックス
これらの数値が高いほど、100m自由形トライアルでも高く相関する傾向が分かった。
私見まとめ
100mレースのパフォーマンス予想として、
早速、50m×4本のテスト練習を実施してみたいと思いました。
「練習は強いのに、本番は弱い。どうして?」と聞かれたら
「本番」と「練習」の内容が、かけ離れているのかもしれませんよ。
本番が50mなのに、練習は1500mのためのトレーニングになっている。そんな感じの場合もあるかもしれません。
効果測定をキッチリ実行していきたい。
トレーニングの優先順位を間違っちゃうこともあるよね
懸垂や腕立ては、競技パフォーマンスと「相関関係」がある!
だからといって、懸垂や腕立てばかりに取り組むことは正解なのでしょうか?
1年やっても2年やっても、結果に繋がらない。もしかするとそんな経験したことのある人もいらっしゃるかもしれません。
なかなか難しいことですが、
優先順位を見極めて取り組んでいきたいものです。
「短期的な視点」と「長期的な視点」で優先順位は変わるかも
例えば、
3か月で結果を出すことを目指すケースと
3年間で結果を出すことを目指すケースとでは、
トレーニングにおいて優先順位は変わるかもしれない。
より短期的な場合は、「競技パフォーマンス」に直結するような内容に取り組むべきだろうし
より長期的な場合は、間接的に競技パフォーマンスを高めるための準備のようなトレーニングにも時間を割いていくべきだろう。
競泳パフォーマンスと筋力についての「相関関係」記事
恒例の「100mハード×20本」データ取りは何のデータを取っているのか?
日本水泳界には、とある時期が来ると合宿で「100m×20本」ハード泳でのデータ取り。というメニューがお決まりです。
(主語をデカくしすぎかな?)
スプリント選手もクロール以外の選手も同じことをやるようです。
この練習で収集したデータは、何を見ているのか?また、何に役立っているのか?そういったデータとしての解釈について誰も分からないまま取り組んでいるのが現状かと。
いっそのこと「データ取り」なんて言わずに、「根性つけるためだ!」「有酸素持久力を高めるためだ!」「テクニックの定着を図るためだ!」という言い方をしてくださったら良いのにねぇ。なんて考えちゃうこともあります。
100m自由形レースは「50m×4本(サイクル約2分)」と相関が認められていることが分かっています。
何を評価するための100m×20本ハードなのか?
私も含めて、いろいろと考えていきたいものです。