No.147 【競泳】アシストチューブ・レジストチューブの効果はあるのか?

競技力向上

水の中で「泳ぐ」トレーニングというのは、陸上で走ったり跳んだりするトレーニングと比べて、肉体にかかる負荷が低いと考えられます。

そこで、プールで実施する競泳の練習でも、「強度」を高めるためにチューブを使用したトレーニング方法があります。

・チューブを引っ張って泳ぐ「レジストチューブ」

・チューブに引っ張られて泳ぐ「アシストチューブ」

上記2つのトレーニング方法で、全力100mクロールのパフォーマンスへどのような影響があるのか?

どちらのトレーニング方法がタイム短縮に繋がるのか?ということを比較研究した論文をご紹介したいと思います。

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論文紹介

題名:Assisted and resisted sprint training in swimming
著者:Sébastien Giroldら
公開日:2006年8月
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16937967/

論文結論:3週間(週3回)のトレーニング期間では、レジストチューブ群によるパフォーマンス向上効果が最も高かった。

✅3週間の期間後、100mテストのパフォーマンスはそれぞれ、レジスト群(2%)向上、アシスト群(0.8%)向上、コントロール群では(0.3%)向上であった。

✅アシストチューブ群では、3週間後のテストで「ストローク長」の低下および「ストロークレート」の増加が見られた。

✅レジストチューブ群では、3週間後のテストで「ストローク長」は維持、「ストロークレート」は100m後半の50mのみ増加が見られた。

論文内容:3グループに分かれて3週間のトレーニング期間の前後で100mテストを実施しました。

■37名(男性16名/女性21名)、平均年齢17.5歳の競泳選手が3週間の実験に参加しました。

■レジストチューブ群(15名)、アシストチューブ群(11名)、コントロール群(11名)の3グループへ無作為に分けられました。

■実験期間中、月曜から金曜まで週10回(1日2回,1回あたり1.5時間)の練習を実施。トレーニング量は週の平均45.5kmであった。練習内容は、朝はクロールで有酸素性運動が中心、夕方はテクニック練習やメドレーで中強度トレーニングが実施されました。

■月・水・金の夕方に週3回、各グループに分かれてのスプリントトレーニングが実施されました。

🔽レジストチューブ群は、30秒スプリント/30秒レストを6回(計6分)
🔽アシストチューブ群は、25mスプリントを12回(計6分)
🔽コントロール群は、約1分サイクルでの50mスプリントを6回(計6分)

私見まとめ

3週間(週3回)のトレーニング期間として、アシストチューブか?レジストチューブか?と問われたら、「レジストチューブ」のほうが100mクロールパフォーマンス(タイム短縮)にとって良い効果をもたらした可能性が示唆されました。

本ブログでは、毎度のように言っていますが、
「条件」が変われば結果も変わる。という可能性も当然のように認識しておきたいところです。

今回紹介した研究の被験者たちは、効果を測定するためのテストにおいて、どのグループでの平均タイム(100mクロール)でも「60秒以上」かかっていました。

なので、その競技者層にとってはレジストチューブが効率的であったのかも知れません。

研究データはありませんが、平均タイムが「50秒」くらいの集団にとってはアシストチューブが効率的なのかも知れません。

※個人的な現場感覚としては「50秒」くらいの集団でもレジストチューブがトレーニング効果は高いのかなと感じています。

現場レベルでは、たくさんの科学的データの情報を浴び、色んなことを想像しながら粛々とトレーニングを実践していくのであります。


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