競泳パフォーマンスと関係性があるもの【水泳と筋トレ】

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水泳選手の競技パフォーマンスと関係があるものは何か?

今記事では、競技パフォーマンスと相関関係の調査がされた研究をいくつか紹介いたします。

記事最後の「私見まとめ」では、私が個人的に一番興味を持った懸垂との関係性について考察しています。

目次

競泳パフォーマンスと相関関係について

「50mクロール」と「腕立て伏せ」との関係性

<実験参加者>

■33名の男性競泳選手(平均年齢16歳、身長180cm、体重72kg)

■50mクロールの平均ベストタイムは25.0秒

■週に6回のスイム練習・週に2回のドライランドトレーニングを実施している集団。

論文結論:腕立て伏せとスプリントクロールのタイムには強い相関関係がある。

荷重(10kg/20kg/30kg)腕立て伏せにおける平均挙上速度と、

25mと50mクロールタイムとの間には明らかな相関関係が認められた。

2021:Sofiene Amaraら

「スプリント(50m/100m)スイム」と「最大筋力」との関係性

<実験参加者>

■14名の男性水泳選手(年齢16~20歳、体重70kg、身長180cm)

■クロールでのトライアルタイム50mは平均27秒、100mは平均60秒であった。

論文結論:最大筋力&ジャンプ高と、クロール泳タイムには相関関係が見られた。

バーベルバックスクワットの1RM・ベンチプレスの1RM・スクワットジャンプ・カウンタームーブメントジャンプと

50mおよび100mの全力クロール泳タイムとの間には強い相関関係が見られた。

2021:Michael Keinerら

「スタートの飛距離」と「ジャンプ高」との関係性

<実験参加者>

■27名(女性11名/男性16名)の水泳選手(平均年齢19歳)

■FINAポイント500~700の集団

論文結論:スタート飛距離が大きい選手ほど、ジャンプ力が大きい傾向がある。

レースと同様の「スタート」を実施し、入水までの距離を測定した。

その飛距離が遠い選手ほど、カウンタームーブメントジャンプ・立ち幅跳び・Isometric Mid-thigh Pull(背筋力の測定)が大きい傾向にあることが分かった。

2020:Jessica A Calderbankら

「世界レベルのスプリンター」と「体組成」との関係性

体組成は、InBody720による分析が使用された。

論文結論:世界レベルのスプリント水泳選手は、国内レベルの水泳選手と比較して、男女ともに「筋肉量」が多い傾向にあった。

男性の世界レベルスプリント水泳選手は、「筋肉量」と競技レベルとの間に強い相関関係が見られた。

女性の世界レベルスプリント水泳選手は、「筋肉量」の多さ&「脂肪量」の少なさと競技レベルとの間に強い相関関係がみられた。

2020:Milivoj Dopsajら

「世界ランク100位以内の水泳選手」と「身長&体重」との関係性

2000年~2014年の範囲で調査された。自由形のみで調査され、全ての距離の選手を対象とした。

論文結論:ランキング上位ほど身長が高い傾向にあり、体重は距離によって異なる傾向であった。

■主な知見は3つ

(1)どの距離でも速い選手ほど、高い身長である傾向が見られた。
(2)スプリンターは、体重が大きい傾向が見られた。
(3)ディスタンス選手は、体重が軽い傾向が見られた。

2019:Robin Plaら

「飛び込みパフォーマンス」と「筋力」との関係性

<実験参加者>

■20名の女性水泳選手(平均年齢15歳、身長166cm、体重57kg)

■FINAポイントの平均値は、709でした。

論文結論:飛び込みパフォーマンスとスクワットジャンプは強い相関関係がある。

ウエイト(スミスマシン)を用いたスクワットジャンプ中のピーク速度が大きいほど、

飛び込みパフォーマンス(5m/10/15mの通過タイム)が速い傾向にあった。

2016:Amador García-Ramosら

「50m自由形タイム」と「懸垂」との関係性

<実験参加者>

■16歳~26歳までの男性水泳選手12名(平均年齢19歳、身長180cm、体重75kg)

■50m自由形タイムは、平均26秒(23~28秒)の集団

論文結論:スプリントパフォーマンスと懸垂の最高速度との関係性が見られた。

50m自由形のタイムが速い選手ほど、懸垂1回の最大速度が大きい傾向が見られた。

また、懸垂を限界までおこなう最大回数との関係性は見られなかった。

2018:Pérez-Olea, José I

私見まとめ

水泳パフォーマンスと、筋力との相関関係が多くの研究調査から認められています。

相関関係と因果関係の違い

■相関関係とは、「競技レベルが高い人ほど、○○だった」

■因果関係とは、「○○だから、競技レベルが高くなる」

前者は”要因”、後者は”原因”とも言える。

つまり、今記事で述べてきた「相関関係」というのは、競技パフォーマンスを向上させるために”必須”のものであるワケではない。ここは最低限の理解が必要なところです。

「これをやったら必ず伸びる」という因果関係的な筋トレは無いのかもしれませんが、伸びるための確率を高めるために必要だと感じられたらやってみるという選択もありかと。

競泳選手の筋トレは「高回数」を目指すのではなく「高出力」を目指すべし

ボトムアップではなく、トップダウンで考えてみる

筋トレをボトムアップ的に考え出すと、とにかく回数をこなしたり、重いものを持ち上げたくなったりしがちです。

一方で、トップダウン的に考えてみます。筋トレは、「高出力」を目指すとします。

高出力とは、速度や最大筋力やパワーを指します。

例えば、懸垂で「1回の懸垂における速度」を高めることを目指すとします。より高速度な懸垂を目指すためには、高速度を発揮できるフォームが必要です。

つまり、高回数を達成するためのフォームとは異なるということです。

参考記事:No.175 懸垂でたくさん回数が出来るようになったらパフォーマンス向上に繋がるのか?


■ボトムアップは、積み上げ思考

■トップダウンは、逆算思考

このようにも言えますかね。

しかし、トップダウン的な思考の場合

トップの考えが間違っていたら、その下位も同じように間違っちゃいますので要検討だよ。

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