2週間のテーパーで50mが1秒(3%)速くなりました。

レースまであともう少し。日々の練習に励んできた成果を発揮したい気持ちと同時に、不安を抱えている方も多いですね。

そんな不安を少しでも解消するために取り入れていきたい方法「テーパリング」。水泳の現場では「テーパー」と呼ばれることが多いかな。

テーパリングとは、パフォーマンスアップを狙いとして、レース前に練習量を徐々に減らすことで、疲労を回復していく方法です。

トレーニングの現場を知らない人からすると「レース前に量を減らす」なんて、逆効果のように思えるかもしれませんが、実はレース当日をよりベターな状態で泳げるようにするための重要な取り組みです。

本記事では、2週間のテーパリングプログラムと、その効果について述べていきます。

選手の皆さんは、テーパリング期間を通して、自分の体と向き合い・心に耳を傾けることで、レース当日をより良い状態でスタートラインに立つ。そのためにも基礎的な知識をつけていきましょう。

目次

テーパリングとは?

テーパリングとは、スポーツパフォーマンスを向上させるために、トレーニングによる生理学的・心理的ストレスを軽減し、一定の期間をかけてトレーニング負荷を段階的に非線形的に減少させること。

※参考(MUJIKA, IÑIGOら:2003

テーパリングで期待できる効果

トレーニング「量の減少」と「強度の維持」を特徴とする2週間のテーパリング期間によって、

☑選手の気分・心理状態に良い影響を与える。

☑50mクロールのタイムが約1秒(約3%)短縮しました。

☑生理学的な指標のパフォーマンス向上(筋グリコーゲン増加、筋パワー向上、換気性閾値の向上など)

※参考(Hajer Aouaniら:2024)(Zhiqiang Wangら:2023

2週間テーパリングプログラム

トレーニング期間の最終週の総量と比較して、

▼テーパー期間の「第1週目」で総量の30%を減らす。

▼テーパー期間の「第2週目」で総量の50%を減らす。

▼スプリント・トレーニングは、維持またはわずかに増加させる。

→テーパー期間では、選手のRPE負荷(主観的運動強度)を徐々に減らしていきましょう(←これ大切)

※参考(Hajer Aouaniら:2024

テーパリングを行う際の注意点

・テーパー前の期間(プレテーパー期)をきちんと設けましょう。

・プレテーパー期では、トレーニングとして過負荷(徐々に負荷を高めていくこと)で設計しましょう。

・テーパーは魔法ではありませんので、コーチや指導者は選手の心身の状態をしっかり観察して必要であれば対話を重ねましょう。

私見まとめ

ここまで今記事では、トレーニングを積んだ競技者のパフォーマンスを少しでも向上させるための「テーパリング」について述べてきました。なんとなく、今後どのようなことに注意をして取り組んでいったら良いのか理解が深まるきっかけになっていたら嬉しく思います。

ここからは私の過去の失敗経験から反省したことを偉そうに述べていきたいと思いますw

過去のテーパー期における気付き

アスリートにとって、パフォーマンス向上のためにトレーニングや技術指導は欠かせません。でも、それだけじゃダメなんだ。実は、選手のメンタルを無視しちゃダメって知ってた?

昔、私も選手のメンタルを軽視して、机上の理屈だけでプログラムを作ってた時期があったんですよ。トレーニングは素晴らしく積み上げられているのに、選手のパフォーマンスは思ったように全然上がらず、壁にぶつかっちゃうんだよね。

選手は機械じゃないw

当たり前なんですけどね笑 20代前半コーチなりたてでそれなりの結果が出ちゃうと勘違いするのよ笑

選手はそれぞれ個性や価値観が違いますし、レース前はプレッシャーや不安でいっぱいになることも多い。反対になんにも感じていないんじゃないかと思うような人もいる。机上の理屈だけでプログラムを作っても、選手に合わなかったり、メンタルを悪化させたりする可能性もあるんだね。

メンタル面をコントロールできていれば、パフォーマンスは安定するんじゃないか

逆に、浮き沈みはありながらもメンタル面を良好に保ったり、コーチ・選手ともにセルフコントロールが出来ていれば、パフォーマンスを向上させたり安定したりするんじゃないか!

競技を通して自分の価値観に気づいたり、自分自身をコントロールできるようになることが重要なんだね。

選手が自分自身の価値に気づき、目標に向かって主体的に取り組むことで、成長できるようになる。これは競技スポーツの大きな大きな価値。ココめっちゃ重要。

選手と共に作る(という意識を持つ)

選手のパフォーマンス向上のためには、選手個々のメンタルを理解しようと努めること、尊重することが大切なんだね。コーチや指導者は、選手と多くの対話をしたり、ときにはグッと堪えて待つことも必要だね。腹立つことも多いですからねw

選手と共に成長していくという意識を持ち、選手が自分自身の可能性を最大限に発揮できる環境を共に創造していくことが、最適なパフォーマンス向上につながるんじゃないかな?

私(山﨑)が心理学に関心を向けるようになったきっかけ

こっからは完全に余談です。

コーチになりたてだった当初の私はこう考えていました「メンタルはコーチが管理するものじゃない。選手は体を鍛えることでメンタルも強くなるんだ!」って。笑

9割くらいは改心しましたがw、今でも僅かばかり「体と心の関係性」については思うところが変わっていない部分もあります。特に「心身か?身心か?」というテーマについて。これはまたどこかで書き起こしたいと思います。

で、きっかけですが、COVID-19の蔓延からの2020東京五輪選考会の延期までの一連の流れです。選手のパフォーマンスに影響するメンタル面への興味はもともとありましたが、特にこの時期を通して「指導者たちのメンタル面」について、役に立っていきたいな・私なら役に立てるんじゃないかなと考えることが多くなりました。

体系的に学ぶため、心理学専攻の大学(通信制)へ入学しましたw
おじさん大学生となった私は、サクッと卒業して人間学の学位を頂戴いたしました。今となっては、そこで学んだコトが仕事に活きていることが多少はあるような気がしています。

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