アクティブレストvsパッシブレスト【インターバル2分vs4分】

高強度インターバルトレーニングを実施するときに、頭を悩ませられる問題がいくつかありますが

その中の一つである「インターバルの時間」について取り上げてみます。

以前の記事で、インターバル時間「45秒」と「120秒」での比較実験を行った研究を紹介しました↓

No.155 アクティブレストvsパッシブレスト【インターバル45秒vs120秒】

今記事では、インターバル時間「2分」と「4分」で比較した研究をご紹介したいと思います。

目次

論文紹介

題名:Active recovery intervals restore initial performance after repeated sprints in swimming
著者:Ioannis D Kostoulasら
公開日:2017年12月17日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29249177/

【参加者】

12名の男性水泳選手(平均年齢20歳)

※1週間で30,000〜35,000mの練習量に取り組む集団。

【実験内容】

50m6本の全力クロール、インターバル中の過ごし方を以下の4パターンで実施した。

①パッシブレスト2分(PA-2)

②パッシブレスト4分(PA-4)

③アクティブレスト2分(AR-2)

④アクティブレスト4分(AR-4)

・パッシブレストでは、プール内で静止して休憩。

・アクティブレストでは、乳酸閾値(LT)の手前の速度で泳ぐ。

・血中乳酸濃度は50m×6本テストの前後で測定した。

【結果】

✅6本の平均タイムで比べると、(AR-4)は(PR-4)よりも遅かった。(AR-2)と(PR-2)では違いは見られなかった。

✅スプリント2本目と3本目では、アクティブレストを実施した方が遅かった。

✅スプリント6本目では、アクティブレストを実施した方が速かった。

✅心拍数はパッシブレストよりも、アクティブレストの方が全体的に高い数値であった。

✅血中乳酸濃度は、(AR-4)のほうが(PR-4)よりも低くなったが、(AR-2)と(PR-2)の条件間では差が見られなかった。

私見まとめ

インターバル2分と4分とで全体の平均パフォーマンスの違いが結果として出たのは、血中乳酸濃度と照らし合わせてみると納得感がありました。

そこよりも個人的に興味を持ったのは「50mスプリントの6本目で、アクティブレスト群がパッシブレスト群を上回った」という部分でした。

単純にトレーニング量という視点で考えると、トレーニングの終盤(6本目)では、アクティブレストを実施している方が疲労の蓄積によってパフォーマンスが落ちやすいのではないかと感じられます。

ですが、アクティブレスト実施によって、パッシブレスト実施よりも6本目のパフォーマンスが高かったことを考えると6本目までの出力が低かったのでしょう。実際に2-3本目はアクティブレスト群のほうがタイムが遅かったことが確認されています。

こういった傾向があることを認識したうえで日々のトレーニングプログラム作成に反映させていきたいものです。

批判的に考える

以前の記事(No.155)で紹介した研究での被験者は「レクリエーションレベルの集団」でした。

今記事で紹介した研究での被験者は「日々トレーニングを積んでいる競泳選手の集団」です。

さらには、インターバルトレーニング方法が「25m×8本」と「50m×6本」という違いもあります。

なので単純に、インターバル時間だけの違いで結果を比較して語ることは困難です。

ですが総じて、インターバル中のアクティブレストとパッシブレストを比較してみると、アクティブレストのほうがトータルのパフォーマンスが低かったということが言えます。


研究者の方々が示してくださった知見を、現場でよりよく取り入れるためにも、批判的に考えることが重要だと思っています。

※批判とは「対象をより良くするための思考」【批判と悪口の違いについて

論理的に考えて答えを出していくと、あとから振り返ったり改善がしやすいです。

手段を考えるときは、一緒にネガティブ人間になりましょう。

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