高強度のインターバルトレーニングを取り入れているアスリートの方々も多くいらっしゃると思います。
インターバル中は、どのように過ごしていますでしょうか?
インターバル中の取り組みは、大きく分けて「アクティブレスト」と「パッシブレスト」の2つがあると思います。
どちらを実施したら良いのか?
それぞれのメリットについて、考察してみたいと思います。
パッシブレストについて
短期的な視点
高強度インターバルトレーニングでのインターバル中は、アクティブレスト実施に比べて、パッシブレスト実施のほうが「パフォーマンスが高い」とされる研究が多く見られます。
No.155 アクティブレストvsパッシブレスト【インターバル45秒vs120秒】
No.156 アクティブレストvsパッシブレスト【アクティブレストの泳速度60%vs50%】
No.159 アクティブレストvsパッシブレスト【アクティブレストの泳速度60%vs40%】
平均タイムや出力を高く発揮するためには、インターバル中は「パッシブレスト」を実施するほうが良いと考えられます。
生理学的な視点
パッシブレストは、乳酸やpHなどの強力な代謝刺激に筋肉組織がさらされる時間が長くなり、アクティブレストとは異なる反応をもたらす可能性があります。
パッシブレストによるホメオスタシスの乱れが大きいことが、その利点を説明するかもしれません。
高強度運動による体内環境(乳酸生成など)が、アクティブレストによって緩衝(クリアランス・リサイクル)されやすいです。パッシブレストでは、アクティブレストに比べて直ぐには緩衝されず、乳酸などの代謝産物にさらされている時間がわずかばかり長くなることが考えられます。
アクティブレストについて
パッシブレスト(短期的な視点)項目で述べましたが、
インターバル中は、アクティブレストを実施すると、トータルのパフォーマンスが低下する可能性が高いと考えられます。
ならば「アクティブレストを実施する意味はない!」と短絡的に考えてしまいそうです。
アクティブレストを実施するメリットは無いのでしょうか?
長期的な視点
トレーニング効果は?
スプリントインターバルトレーニング(SIT)を実行するとき、インターバル中のアクティブレストが、パッシブレストよりも「持久力向上を誘発する」ことを初めて示しています。
(Takaki Yamagishi and John Babraj:2019)
アクティブレスト群はパッシブレスト群と比較して、トレーニング期間後に有意に高い持久性能力(嫌気性閾値:AT)を得られたことが分かりました。
高強度インターバルトレーニングを中長期的にわたって実施した場合、インターバル中にアクティブレストを取り入れることによって、パッシブレストよりも「持久力が高まる」可能性が示唆されています。
私見まとめ
インターバルトレーニングについて、ここまで考察してきました。
インターバル中は、パッシブが良いか?アクティブが良いか?と問われると
まだまだ確信的な答えは出ていません。
運動時間やインターバルの時間や反復する本数など、考えるべき変数は多くあり、それらの違いによっても得られる効果は異なるでしょう。
トレーニングにおける狙いとして、高めたい能力を定めて、それに対して効果的だと考えられるトレーニング方法を実施していく。ということが現場においては重要だと思います。
そのためには、様々なトレーニング刺激によって与えられる反応(効果)を認識する必要があるでしょう。
競技結果にしっかりと結び付けていきたいものです。
ざっくりまとめ
インターバルトレーニングにおけるインターバル中の過ごし方は、
✅持久力(有酸素性も無酸素性も)向上なら、【アクティブレスト】
✅高出力の反復回数の向上なら、【パッシブレスト】
今のところ、このような考えです。
今後も、研究者の方々の発表を追いかけてアップデートしていきたいと思います。
ざっくりまとめられない部分
コチラの記事で述べました内容について↓
No.159 アクティブレストvsパッシブレスト【アクティブレストの泳速度60%vs40%】
アクティブレスト(40%泳速度)は、パッシブレストと同様の結果だった。という報告が確認されました。
これはつまり、
アクティブレストとパッシブレストの両方のメリットを得られる、アクティブレストの【強度】があるのかもしれない。という妄想を膨らませられます。
現場でディスカッションしていく材料にしたいと思います。