泳いでいると、一度くらいは考えたことのあるテーマだと思います。
手の指と指の間は広げたほうが良いのか?閉じたほうが良いのか?
水泳コーチの方々の間では、当たり前の常識かもしれませんが、
今記事では、論文を引用しながら「指の間」の最適解をまとめてみたいと思います。
論文結論(1):「指と指」の開く距離(角度)について
■指と指の間を10°開くようにした場合、抗力が大きくなり、推進力をより生み出す可能性がある。
※5つの角度(0°、5°、10°、15°、20°)で比較実験
論文紹介
題名:The effect of finger spreading on drag of the hand in human swimming
著者:Josje van Houwelingenら
公開日:2017年8月10日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28823502/
論文結論(2):親指の開く距離(角度)について
■親指は内転(閉じた)状態で、抗力がわずかに大きくなることが確認された。
※完全に外転(広げた)状態、少し外転(広げた)状態、完全に内転(閉じた)状態の3つで比較実験
論文紹介
題名:Hydrodynamic analysis of different thumb positions in swimming
著者:Daniel A. Marinhoら
公開日:2009年3月1日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3737786/
その他参考論文
題名:Optimising the freestyle swimming stroke: the effect of finger spread
著者:N. O. Sidelnikら
公開日:2006年9月
https://link.springer.com/article/10.1007%2FBF02844114
題名:Swimming propulsion forces are enhanced by a small finger spread
著者:Daniel A Marinhoら
公開日:2010年2月
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20147761/
私見まとめ
・親指は内転(閉じる)
・第2指から第5指は約10°開く
この2つから抗力をより大きく得られる可能性があることが分かりました。
しかしここで、
気をつけて考えなければいけないな〜、と思う点は
■手の指部分が推進力に与える影響は小さいこと
■努力度の高い運動をしているときほど、体の部分的な意識はパフォーマンスを低下させるかもしれないこと
特に、運動を指導するコーチやマネージャーの方々は、この2点について認識しておく必要があると考えました。
例えば、全力スプリントで50mクロール泳をする際、
腕が1周する時間(テンポ)は、約1秒です。
その1秒の間に、体の部分(指)を意識して筋肉を制御するのは困難でしょう。
上記を踏まえて、選手の皆さんには、
「今まで作り上げてきたご自身の体を信じて泳ぎましょう」と伝えていきたいと思います。
※運動時の【意識】がパフォーマンスに影響を与えるという記事はコチラ