水泳ネタです。
今回は、「バタ足」について。
バタ足を英語では、「flutter kick(フラッターキック)」と表現します。
フラッターとは「はためく」という意味ですね。
板キック25mの前に
ジャンプ運動を複数回実施。
バタ足の速度・頻度・推進力などに影響があったのか?
PAP効果というものを実験した、
そんな内容の論文をご紹介します。
論文紹介
Human thrust in aquatic environment: The effect of post-activation potentiation on flutter kick
著者:Felicia Ngら
公開日:2019年10月4日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6811994/
内容:バタ足に対するPAP効果を調査
(参加者)
・16名(男性)の水泳選手
・平均年齢22歳/平均体重72.5kg
・競技経験は平均7年
(実験手順)
・2つのウォームアップ方法をクロスオーバー方式で実施
①非PAP:1400mの水中ウォーミングアップ
②PAP:700mの水中ウォーミングアップと反動ジャンプ(CMJ)5回×2セット
(テスト)
・ウォームアップ後、25mバタ足板キック
・着圧センサーで足背と足底の圧力を調査
・スピードメーターで速度を調査
・水中カメラで撮影
上記から、
ピーク推進力・平均推進力・速度/速度変動・キック頻度(回数)などを調べました。
結果:PAP(反動ジャンプ後)に「バタ足」が速くなりました。
非PAPと比べて、PAPテストでは
明らかにバタ足の推進力・速度・頻度が向上しました。
今回の実験で
バタ足に対するPAP効果は認められましたが、
なぜ反動ジャンプ後に効果があったのかというメカニズムは不明確なままです。
PAP効果のメカニズムは主に3点が分かっています。
①ミオシン調節軽鎖のリン酸化
②中枢神経系のシナプス興奮増加
③腱と骨との力伝達効率化
以上のようなことが言われています。
まとめ(私見)
成年選手では、
クロール泳の速度において、
「バタ足」が貢献する割合は10〜20%程度だとも言われます。
このことを事実だとして、
考える視点が2つ出てきます。
一つは、
バタ足は1割程度しか速度に貢献していないのだから
練習はそこそこにしておいて
もっと速度に貢献している上半身をトレーニングしよう!
もう一つは、
水泳選手は全体的に下半身の筋力が弱いから
速度への貢献はまだまだ向上するはずだ
下半身もしっかり筋トレしちゃおう!
あなたはどちらのタイプでしょうか?
どちらの認識も間違ってはいないでしょう。
ちなみに、
ジュニア選手では、
シニア選手よりも「バタ足」が速度に貢献する割合が大きいとも指摘されています。
理解することを
実践することへ。