過去に「PAP効果」をテーマに記事を書いております。
この記事タイトルは、過去の私へ向けたモノとなっております。
概要はコチラをご覧ください。
(No.67 水泳パフォーマンスへのPAP効果)
(No.92 ジャンプでバタ足(フラッターキック)が速くなる?)
今回の記事では、PAP効果という言葉を再度確認しつつ、近年、別の概念として発信されているPAPEとの違いや発生機序の解説をしていきます。
ほとんどの方にとって需要があるテーマの記事とは思えませんが…。必要な人に届けば良いのです。
短時間の「筋肉活動」直後の【筋力強化】の歴史
■「Staircase」or「Treppe」<1871年〜>
(受動的な)単収縮後の筋力強化
■PTP(Post – tetanic potentiation)<1930年代〜>
(受動的な)強縮後の筋力強化
■PAP(Post – activation potentiation)<1976年>
(受動的な)活性化後の筋力強化
■PAPE(Post – activation performance enhancement)<2017年〜>
(能動的な)活性化後のパフォーマンス向上
PAPとPAPEの違い
PAPの説明
PAPの効果は、
約28秒で半減し、3分未満で消失するようです。
(Vandervoort AA:1983)
PAPの機序
タイプII筋繊維内の「ミオシン軽鎖リン酸化」による生理学的な現象である可能性が高いとされています。
PAPEの説明
PAPは3分未満で消失する現象だと分かりました。
ですが、活性化後(Post-activation)6分以上経過してからもパフォーマンスの向上がしばしば見られます。
これをPAPとは呼ばず、PAPEとして用語を使いはじめたのが(Cuenca-Fernández Fら:2017)コチラのようです。
PAPEの機序
PAPEの発生機序は全てが明確にはされていませんが、以下のような項目が示唆されています。
・PAPと同様に、タイプII筋繊維内の「ミオシン軽鎖リン酸化」
・筋肉の温度上昇
・筋内のpH、筋血流や筋水分の増加によるカルシウムイオン感受性への影響
・運動単位(モーターユニット)の動員増加
・筋腱複合体の剛性増加
参考論文
題名:Post-activation Potentiation Versus Post-activation Performance Enhancement in Humans: Historical Perspective, Underlying Mechanisms, and Current Issues
著者:Anthony J. Blazevichら
公開日:2019年11月1日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6838751/
私見まとめ
PAPやPAPEは、いわゆる【ウォームアップ】の研究に繋げて考えることが出来ます。
どのようなウォームアップを実施したら、より効果的なのか?
そういった研究論文も多く出されています。
やはり、「個別性」という言葉へ辿り着くのだとは思います。
しかし、その「個別性」の背景には、「トレーニング経験」が深く関わってくることでしょう。
あなたが、どのようなエクササイズ種目を実施してきたのか?
どのくらい筋力を高められているのか?
この【種目経験とそれに伴う筋力】というのが、ウォームアップを考える上で大きく関係があると考えています。
つまり、普段はスクワットやったこと無いのに
レース前にスクワットすると、パフォーマンス向上するって聞いたから取り組んだとしても
おそらく結果は出ないでしょう。
ウォームアップ(PAP・PAPE)は、【疲労】と【パフォーマンス向上】の天秤を考えるべきです。
まあ、筋トレやろうぜ。ってことに行き着きました。
あとがき
いつもは「私見まとめ」を書いておしまい。ですが、
今記事は、ほとんどまとめみたいな構成なので短めにしました。
この記事を書くぞ!ってなったのは、いつもテーマを授けてくれる及川氏の影響です…。
及川氏からいつも「お題」を出されます。いつも興味深い「お題」に、私は、その「お題」について調査します。簡単にはまとまらない。まとまらないから気になって眠れなくなる。朝起きれない。というのがルーティンです。
何度も、「この記事、誰にも刺さらないじゃん。」ってメゲました。
落ち着いたら、わんこそば食べさせてください。