「もっと速く足を動かせ」
スポーツ指導の現場では、日々多くの指示が飛び交っています。
相手の行動を、より良い方向へ変えようとしているからこそ出てくる言葉なのだと思います。
しかし、
『私の意見は正しい』
『私の考えに反論の余地などない』
高圧的な態度は、受け手に心理的な反発を与えてしまうケースが多々あります。
こういった心理的な反発のことを、社会心理学の分野では【リアクタンス理論】と呼んだりします。
心理的リアクタンス理論(A theory of psychological reactance)
1966年にBrehm(ブルーム)さんが提唱されました。
なんらかの指示や文言が発せられて、受け手がそれを「高圧的に感じたり、態度選択の自由を脅かされた」と受け取ったりした場合に、反発(リアクタンス)が起こる。このようなことを意味している理論です。
「お酒の飲みすぎ注意」に対する心理的リアクタンスを調査した研究
題名:“Don’t Drink Too Much!” Reactance Among Young Men Following Health-Related Social Control
著者:Monika Sieverdingら
公開日:2019年2月2日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/labs/pmc/articles/PMC6440071/
論文結論:強制的な態度で発せられた文言では、受け手の怒りや反発が強くなりました
✅女子学生からの「強制的な態度である」提案は、男子学生からの提案に比べて、反発が大きくなりました
✅調査結果から「誰から言われたか?」「その提案をどのように受け取ったか?」ということが重要であるという証拠が得られました。
論文内容
■男子大学生84名(ドイツのハイデルベルク大学)が実験に参加。平均年齢は24歳。
■実験参加者は飲み会へ行く前に、4つのパターンの「飲みすぎ注意」という内容を電話で聞いた
パターン①:女子学生による「強制的な態度ではない」内容
パターン②:女子学生による「強制的な態度である」内容
パターン③:男子学生による「強制的な態度ではない」内容
パターン④:男子学生による「強制的な態度である」内容
■その後、どのような感情を抱いたか?どのように認識したか?を調査した。
私見まとめ
高圧的・威圧的な文言や言い方は、受け手にとって「選択の自由を脅かされた」と感じてしまい、反発(心理的リアクタンス)が発生しやすい傾向がある。
それは、文言の本質的な内容に関わらず、人は説得されにくくなる。
このようなことが分かりました。
受け手の立場・送り手の立場
それぞれの立場から、自分自身にとっての「正しさ」を明らかにして態度を選択していけたら良いな。
受け手として
良い情報を得たかったら、誰が言っているか?ではなく、文言の本質的な内容を理解しようとするようにすべき。
送り手として
相手を説得したかったら、そのような態度の重要性を認識すべき。
最後にメッセージ
あなたの主張が受け入れられないのは内容が間違っているからではなく、受け入れられないような態度だからです。
ホントごめんなさい。改めます。