No.127記事では、平泳ぎの「初心者」と「上級者」との泳ぎの違いについて書きました。
平泳ぎのバイオメカニクスについて記事を書きました。
— 山﨑裕太(Yamazaki Yuta) (@hari_sports_YY) August 1, 2020
初心者と上級者では、キック中の筋活動タイミングに差が見られます。https://t.co/JJzdXSGf2e
今回の記事では、「世界大会メダリスト」と「国内大会メダリスト」との違いについて研究されている論文をご紹介します。
論文紹介
題名:Muscle Activation in World-Champion, World-Class, and National Breaststroke Swimmers
著者:Bjørn Harald Olstadら
公開日:2016年9月6日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27618229/
論文結論:世界大会メダリストは、脚の引きつけ時間が短い!
・国内レベルは「上半身がストリームライン姿勢を作る前に、平泳ぎキック推進フェーズが開始していた」
・世界大会チャンピオンの2名は「腓腹筋と前脛骨筋の共収縮が見られなかった」
・世界大会チャンピオンの2名は「大胸筋の筋活性化が他の選手よりも長かった」
※主な部分のみ引用
論文内容:平泳ぎ25m全力泳で実験・分析!
<参加者>
・8名の平泳ぎの選手
・そのうち4名が国際大会メダリスト、その他の4名が国内大会メダリスト
<実験方法>
・ウォームアップ後、25m平泳ぎの全力泳を実施しました。
・筋電図(EMG)の測定
・モーションキャプチャにて関節角度などを観察
私見まとめ
まとめると、世界チャンピオンは国内レベルと比べると、
「抵抗の少ないストリームライン姿勢を作るのが早い」
「抵抗が増加する動作局面が短時間で完結している」と言えます。
もちろん、推進力が大きいという要因もあるのでしょうが
今回引用した論文からは、「抵抗の少ない姿勢づくり」のヒントが多く感じられました。
個人的に、頭へ「スッ」と入ってきたポイントは、
■平泳ぎキックの推進フェーズ(脚を伸ばす動き)中の、僧帽筋の筋活動活性化
■平泳ぎキックのグライドフェーズ(脚を伸ばした状態)中の、大胸筋の筋活動活性化
■平泳ぎキックのグライドフェーズ(脚を伸ばした状態)中の、上腕二頭筋の筋活動活性化
この3つが、過去に担当した平泳ぎ選手たちへ、もっと注意深く見てあげられていれば…。と感じさせられました。
ブログ記事を書いていると、「過去の自分への戒め」のような気持ちになって、少し気が滅入ります。。
早速、これからの指導現場に落とし込んでいきたい気持ちです。