【競泳】ウォームアップからレースまでの過ごし方

生理学

水泳選手・マスターズ選手向けの記事となります。
陸上競技などのアスリートにも応用できる考えかと思いますので、ご参考になれば幸いです。

選手たちは、競技会の当日にウォーミングアップを実施した後にレースへ向かいます。
ウォーミングアップ(warm-up)からレースまでの過ごし方について考察してみます。

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結論

ウォーミングアップ終了からレースまでの時間の過ごし方

①陸上トレーニングを実施する

準備体操として、短時間(数秒)のチカラ発揮をする運動を行う。
普段やり慣れた運動であることが望ましいです。

②体温が低下しないようにする

ウォームアップ後に、いつまでも体を拭かず水に濡れたままですと直ぐに体温が低下します。
服装にも気を配りましょう。

③座りっぱなしだと足が浮腫(むくみ)、身体が炎症反応を起こします

座ったまま45分経過程度で、下肢の浮腫が顕著に発生することが分かっています。
さらには、IL-8という炎症性物質が体内で有意に増加します。
つまり、身体が炎症状態となることを示しています。
これを防ぐために、①陸トレを実施しましょう。
3分間程度の高強度運動によって改善されます。

詳しい説明

筋肉の温度を高く保つこと

筋肉の温度がある程度高い状態

①スプリントパフォーマンスの有意な向上。
②解糖系・ホスファゲン系によるエネルギー(ATP)システムの活性化。
これらが認められています。

その一方で、運動中に筋肉の温度が高くなりすぎた結果

①高強度の繰り返し運動(HIITなど)パフォーマンスの低下。
②持久的(Aerobic)運動では疲労(中枢性疲労)が早まる。
といったことも分かっています。

適切な筋肉の温度とは?

研究の多くが、筋肉温度を計測するために
皮膚から針を3cm刺入したりといった状態となります。それは我々一般人では現実的に実施が困難でしょう。
また直腸温で計測されている研究などもありますが、毎回お尻の穴に体温計を入れるわけにもいきません…。

筋肉の温度を簡単に計測できるアイテムが普及することを待ちます。

※腋窩(わきの下)温度で、推測すると
「36.5〜37.2℃」がスプリントパフォーマンス向上の見られるポイントと考えております。

心拍数を安静時よりも高く保つこと

ウォーミングアップ直後は、高い心拍数となっているかと思います。
そこから時間の経過とともに心拍数も低下していきます。

心拍数がある程度高い状態

心拍数がある程度高い状態というのは、筋肉への血流量も多いことになります。
筋肉の温度とも直結している関係です。

血流が多いということは、筋肉において酸素量も多いということになります。

さらに、解糖系が働きやすくなり
乳酸の産生が増加され、好気性エネルギーシステムの稼働が大きくなることが期待されます。

上記のことから、嫌気性・好気性エネルギーシステムの両方が働きやすい状態であると言えます。

※心拍数の目安は、(90/1分)以上がスプリントパフォーマンス向上の見られるポイントと考えております。

参考論文

Disrupting prolonged sitting reduces IL-8 and lower leg swell in active young adults
著者:Shilpa Dograら
公開日:2019年10月18日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6798359/

Elite sprint swimming performance is enhanced by completion of additional warm-up activities.
著者:McGowan CJら
公開日:2017年8月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27631544/

Skeletal muscle ATP turnover and muscle fiber conduction velocity are elevated at higher muscle temperatures during maximal power output development in humans.
著者:Gray SRら
公開日:2006年2月1日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16166210/

Influence of post-warm-up recovery time on swim performance in international swimmers.
著者:West DJら
公開日:2013年3月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22789310/

Effects of 10min vs. 20min passive rest after warm-up on 100m freestyle time-trial performance: A randomized crossover study.
著者:Neiva HPら
公開日:2017年1月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27265488

Elite sprint swimming performance is enhanced by completion of additional warm-up activities.
著者:McGowan CJら
公開日:2017年8月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27631544

Transition phase clothing strategies and their effect on body temperature and 100-m swimming performance.
著者:Galbraith Aら
公開日:2018年3月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29224500

Lower-Limb Passive Heat Maintenance Combined With Pre-cooling Improves Repeated Sprint Ability
著者:C. Martyn Beavenら
公開日:2018年8月3日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6085547/

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