なんらかのテーマについて話し合いたいときに、話が嚙み合わない時ってありますよね。
それはきっと、前提となる認識が異なっているケースが多いような気がします。
一緒に何かを目指すとき、「前提を共有すること」が大切になってくるんではないかと。
今記事では、クロール泳の腕ストロークについての分類を説明していきます。
クロールの腕ストローク局面について4分類
①エントリー&キャッチ(Entry & Catch)
手が水に入ってから、後方へ動き始めるまでの局面
②プル(Pull)
手が後方へ動き始めてから、肩の真下へ来るまでの局面
③プッシュ(Push)
手が肩の真下に来てから、水に出るまでの局面
④リカバリー(Recovery)
手が水から出てから、入水するまでの局面
キャッチアップ(Catch-up)クロールについて
キャッチアップクロールとは、腕ストロークによる推進局面にタイムラグ(時間差)があるパターンです。
両腕が「エントリー&キャッチ」の位置で”追いつく”ような形ですね。
オポジション(Opposition)クロールについて
オポジションクロールとは、腕ストロークによるプル局面が始まる時に、反対の手のプッシュ局面が終えているパターンです。
手の「入水」と「フィニッシュ」のタイミングが合わさるような形ですね。
スーパーポジション(Superposition)クロールについて
スーパーポジションクロールとは、腕ストロークの推進局面が重なり合う時間があるパターンです。
「プル」と「プッシュ」の局面が重なり合う時間がわずかにあるような形ですね。
“泳ぎ”を変えることで、泳速度を変化させている
低速度のクロールでは、キャッチ局面の時間が長くなる”キャッチアップ”で泳いでいるパターンが多い傾向にあります。
高速度のクロールでは、キャッチ局面の時間が短くなり、プル局面がわずかに長くなるような”オポジション”または”スーパーポジション”へと移行していくことが多い傾向にあります。
キャッチ局面の役割
あえて一つだけ役割をあげるとすれば「抵抗を減らすための姿勢を作る」局面であることをあげたいと思います。
ストリームライン(流線形)姿勢を取り、前へ進むための低抵抗を実現するためであることを意識して泳いでみると良いかと。
また、低抵抗を実現するためであるとともに、反対の手によって生み出している推進局面をより効果的にするための「ねじれ」を作り出すことを意識してみることもオススメです。
※クロールの「ねじれ」についての記事⇨No.133 【クロールの泳速度による違い】肩と腰のローリング
左右差もあるよ
右エントリーの時は”スーパーポジション”
左エントリーの時は”オポジション”みたいな人も多い。
左右のどちらも”スーパーポジション”クロールという形の人は少ないような気がします。
どちらかの腕でタイミングを取っているという人は多いです。
結論
“各自それぞれ”のレース距離に合わせて「進みやすい」&「持続しやすい」コーディネーションを探して練習に励みましょう。
時間があれば、遊び感覚で、3種類のコーディネーションすべてが出来るように練習してみよう。
“各自それぞれ”の中身は何か?
ひとつは、筋力です。
水泳競技は一定の姿勢を保持しながら前へ進んでいきます。
その際、高い速度を発揮するために勢い良くスーパーポジションのように腕を回すと、腕に振り回されて胴体部の姿勢が崩れることがあり得ます。そうすると次のストロークは崩れた姿勢のまま進行することとなります。どこかで姿勢を立て直せればよいのですが、なかなか困難です。
レース距離が長くなるにつれて、当然ですが、ストローク数も増えていきます。
現時点で、自分の筋力と筋持久力に見合ったコーディネーションで、レースのペース配分が出来たら良いですね。
それと同時に、筋力向上を目指したトレーニングも取り入れていくといいよ。頑張ってね。
参考論文
題名:A new index of coordination for the crawl: description and usefulness
著者:D Cholletら
公開日:2000年1月
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10683100/
題名:Adaptability in Swimming Pattern: How Propulsive Action Is Modified as a Function of Speed and Skill
著者:Christophe Schnitzlerら
公開日:2021年4月7日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/labs/pmc/articles/PMC8058415/