「懸垂」と「ラットプルダウン」という似たような運動があります。
今記事では、
それらの「違い」についての比較や各利点を明らかにしてみたいと思います。
結論
懸垂もラットプルダウンも
「広背筋」を鍛えるトレーニング種目として優れています。
そして、広背筋を鍛えるという目的に対しての「差」は明らかに有意なほど大きくないと言われています。
※どちらでも同じ効果とは言っていない。
比較まとめ
懸垂とラットプルダウンの比較
「広背筋」の筋肉活動に大きな差は無い。
というのが現在言われていることになります。
脊柱起立筋・上腕二頭筋
こちらの2つの筋肉活動においては、
【懸垂】のほうが大きく活動することが分かっています。
懸垂(握り方の違い)比較
①順手(Pull Up:オーバーグリップ)
逆手と比べて、
広背筋・脊柱起立筋
の筋肉活動が大きい傾向にあります。
②逆手(Chin Up:アンダーグリップ)
順手と比べて、
大胸筋・棘下筋・外腹斜筋
の筋肉活動が大きい傾向にあります。
※手幅の違いについては、下記に記述してあります。
ラットプルダウン(手幅)比較 ※順手の場合
肩幅(両肩峰間の距離)1倍・1.5倍・2倍
3つの手幅で比較した場合、
広背筋・棘下筋・僧帽筋
の筋肉活動に大きな違いは見られないと言われています。
上腕二頭筋
の筋肉活動については、手幅が狭いほど活動が大きいと考えられます。
肘関節の可動域が増加するためでしょう。
その他で違いがあるのは、
肩幅の2倍で運動する場合、1倍と1.5倍の手幅と比べて
「負荷」が低下することが分かっています。
つまり手幅が広くなれば、
それだけ動員される筋肉活動が減少していくということが考えられます。
ラットプルダウン(引く位置)比較
①顔(胸)の前に引く
②頭の後ろに引く
広背筋・大胸筋
の筋肉活動に違いは両者において見られません。
三角筋の後部
の筋肉活動は、頭の後ろに引くことで有意な活性化が見られます。
しかし、結論としましては
【顔(胸)の前に引く】ことを強くオススメします。
頭の後ろに引く行為は、
効率的に筋肉を鍛えるというメリットが無い。
さらに、肩関節構造上のインピンジメント症候群など「ケガや故障のリスク」が懸念されます。
あえて方法を1つだけにするとしたら
広背筋を鍛えるという点では、
順手・肩幅の1.5倍・懸垂
をオススメしたいと思います。
※当然ですが、一つの方法に拘らず
刺激を変えながらトレーニングを進めてください。
懸垂トレーニング動画
【ネガティブ懸垂】
— 山﨑裕太 (@hari_sports_YY) November 16, 2019
ネガティブ(下降局面)を強調した懸垂トレーニング。
①ジャンプしてトップへ
②「肘」を腰へ引き付け
③肩甲骨挙上させないように、3秒間かけて降りる
動画は20kg加重。
ネガティブを強調したトレーニングは筋繊維へのダメージが大きいです。
トレーニング頻度に注意。 pic.twitter.com/SIIFnmyt4T
【競泳選手】
— 山﨑裕太 (@hari_sports_YY) October 24, 2019
懸垂トレーニング
SSC(Stretch Shortening Cycle)という手法を用いています。
動画は、関谷岳 選手(新潟大学医学科)
バタフライでのキャッチをイメージして動作を進めています。
肘の動きがポイントです。
先日の新潟県スプリントでも50mベスト更新。 pic.twitter.com/UiCyzniqWy
懸垂(広背筋狙い)で、私が主に伝えるポイント
— 山﨑裕太 (@hari_sports_YY) July 17, 2019
①手は肩幅よりやや広く。サムレスかストラップ装着
→腕の筋肉の関与を防ぐため
②尺屈を意識(小指&薬指で握る)
→神経分布や関節の運動連鎖を考慮
③肩甲骨を下げる(下制)&肘を腰へ近づける(肩伸展)
→広背筋をより収縮。肩甲骨内転は特に意識しない pic.twitter.com/JZSA6EyGTu
参考論文
Kinematic and electromyographic comparisons between chin-ups and lat-pull down exercises.
著者:Doma Kら
公開日:2013年9月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24245055
Effects of Grip Width on Muscle Strength and Activation in the Lat Pull-Down
著者:Andersen, Vidarら
公開日:2014年4月
https://journals.lww.com/nsca-jscr/fulltext/2014/04000/Effects_of_Grip_Width_on_Muscle_Strength_and.35.aspx
Surface Electromyographic Activation Patterns and Elbow Joint Motion During a Pull-Up, Chin-Up, or Perfect-Pullup™ Rotational Exercise
著者:Youdas, James Wら
公開日:2010年12月
https://journals.lww.com/nsca-jscr/fulltext/2010/12000/Surface_Electromyographic_Activation_Patterns_and.27.aspx
Effects of Pre-Exhausting the Biceps Brachii Muscle on the Performance of the Front Lat Pull-Down Exercise Using Different Handgrip Positions
著者:José Vilaça-Alvesら
公開日:2014年10月10日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4234755/
Electromyographic Analysis of Three Different Types of Lat Pull-Down
著者:Sperandei, Sandroら
公開日:2009年10月
https://journals.lww.com/nsca-jscr/fulltext/2009/10000/Electromyographic_Analysis_of_Three_Different.17.aspx