No.93 スポーツ競技の早期専門化はメリットなのか?

競技力向上

オリンピックでメダルを獲得した選手たちの
生い立ちを取り上げて、
「生まれてすぐ競技に取り組みました」的な紹介を目にします。
東京五輪後もそういった論調で語られることが多くあることでしょう。

一つのスポーツに早期(若年)から専門化するのは、
良いことなのだろうか?

今記事では、
スポーツの早期専門化について書かれている論文をご紹介していきます。

※今回ご紹介する論文は、「non-systematic review」となります。
実験研究の論文という形では無く、過去の実験などをジャンル別にまとめて述べるような形の論文タイプです。

スポーツ指導者としての正解って何だろう?
そんなことを考えさせられました…。

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論文紹介:スポーツの早期専門化とリスクについて

Sport Specialization, Part I
Does Early Sports Specialization Increase Negative Outcomes and Reduce the Opportunity for Success in Young Athletes?
著者:Gregory D. Myer, (PhD)ら
公開日:2015年9月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4547120/?report=classic

内容①:スポーツの早期専門化という定義について

・1つのスポーツを選択していること
・そのスポーツに集中するために他のスポーツを中止していること
・1つのスポーツに1年間で8ヶ月以上取り組んでいること

この3点が挙げられています。

「早期」というのはどのくらいの年齢を指しているのかというと、
18歳以下を主な対象としているようです。

内容②:早期専門化のリスクについて

・ケガや故障のリスクを高める
・心理的な燃え尽きリスクを高める
・神経筋スキルの開発が広がらない

この3点がリスクとして考えられます。

内容③:トレーニングボリュームとケガ故障のリスク

週あたりのトレーニング量(時間)と
ケガ故障のリスクは線形関係にあることが示されています。

具体的には、トレーニング時間が
週あたり16時間を超えるとリスクが高まるとされています。


論文紹介:スポーツの早期専門化は成功を保証しません。

Sports Specialization, Part II
Alternative Solutions to Early Sport Specialization in Youth Athletes
著者:Gregory D. Myer, (PhD)ら
公開日:2016年1月
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4702158/?report=classic

内容①:早期専門化は成功を保証しない

プロゴルファーの「タイガー・ウッズ」を例に挙げ、
低年齢からの早期専門化を推奨するような論調も見られます。

しかし、
全米大学スポーツ協会(NCAA)の調査によると
学生トップアスリートたちの88%は、12歳まで1つのスポーツに特化せず、
複数のスポーツに参加していたことが分かっています。

全体としては、
若い年齢からの早期専門化によってトップレベルの成功したケースもありますが
ごく少数です。
場合によっては、早期専門化によってエリートレベルへの達成を阻んでいるケースもあるでしょう。

内容②:すべての青少年は計画的な神経筋トレーニングに参加するべきです

定期的にレジスタンストレーニングなどの神経筋トレーニングを実施することで
運動スキル発達やケガ故障のリスク低減が期待できます。


私見まとめ①:アスリートが競技練習以外にやるべきレジスタンストレーニングの必要性

今回の記事では、
競技スポーツの「早期」専門化について取り上げました。

私は現在、競泳指導者として
主に大学生以上のアスリートを担当していますが
レジスタンストレーニングの基礎動作すらも導入されていない選手がほとんどでした。

アスリートは競技練習と並行して
レジスタンストレーニングを実施していくべきであると考えています。
理由は、No.75の記事をご覧いただければと思います。

私見まとめ②:早期専門化のメリットについて

競技スポーツに早期専門化するメリットも考えられます。
それは、若年期の年代別における【競争】に勝てるという点です。

例えば、
中学校や高校へ進学するときに
その年齢層における競争のトップ層にいれば有利に進学先を選択できる。ということがあります。
さらには、金銭面での有益な契約も結べることもあるでしょう。

この問題は、主に親や指導者側の考えが大きいかもしれません。

そういった意味では、
子どもたちは、どのような「成長曲線」を狙いとするのかという点において
選択が必要かもしれません。
理想としては、
若年期から競争のトップを走り続け、シニア区分になっても世界一の競争に勝つことが出来たら良いでしょう。ですが、そういった上手い話はごく少数であり、
若年期でトップだった子どもたちは、その後伸び悩むというケースが多くあります。

スポーツ指導者たちは、
どのようなビジョンを持つべきなのでしょうか?

私は今のところ、
スポーツを通して自己が成長していく喜びといった
過程を楽しんで欲しいな。という思いが強いです。
そのためには競技練習以外に、レジスタンストレーニングの早期導入が好ましい効果をあげるのに役立つと考えております。

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