今記事では、「持久系アスリート」を対象とした「インターバルトレーニング」の頻度について取り上げます。
過去記事↓では、「筋トレ初心者」を対象とした研究論文のご紹介をしています。
合わせて読んでいただくと理解も深まるかなと思います。
筋トレの頻度について書きました。
— 山﨑裕太(Yamazaki Yuta) (@hari_sports_YY) May 12, 2020
ある程度の動作が身につくまでは、頻度や反復がとても有効ですが、
競技歴も長くなってくると「低強度の量的トレーニング」だけでは能力向上が頭打ちになるでしょう。https://t.co/vShq8sv3Fb
論文紹介
題名:Influence of Interval Training Frequency on Time-Trial Performance in Elite Endurance Athletes
著者:Espen Tønnessenら
公開日:2020年5月4日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7246952/
論文結論:週4回よりも週2回のインターバルトレーニングがパフォーマンス向上させた
■ インターバルトレーニングを週2回と週4回で比較したところ、週2回群のほうが、8kmタイムトライアル結果が有意に向上した。
※トレーニングボリュームと強度分布は両群で同様
※トレーニング自体を週2回しかしないという実験ではありません。設定されたインターバルトレーニングを実施する頻度の違いによる効果を比較しています。フルテキストを読んで頂くと分かりますが、設定されたトレーニング以外は各自でトレーニング(ストレングストレーニングなども含めて)実施しています。
論文内容:持久系アスリートの「インターバルトレーニング」頻度の影響を調査
<実験参加者>
・クロスカントリースキーの上級レベル選手が、12週間に渡る実験に参加
・インターバルトレーニング(血中乳酸4mmol/L程度の強度)を「週4回(HFグループ)」と「週2回(LFグループ)」とで比較実験
・週4回グループは、男性5名/女性1名(平均22歳)が実験を完了
・週2回グループは、男性8名/女性1名(平均22歳)が実験を完了
<実験内容>
・12週間のトレーニング介入期間の前後で「8kmのローラースキータイムトライアル」を実施
・どちらのグループも毎週の「トレーニング量」と「強度分布」は同じで設定されました。
・トレーニング介入中、酸素摂取量/心拍数/血中乳酸値を測定し観察。介入前後の運動経済性も調査されました。
・介入(指示)されたトレーニングは、中強度のトレーニングで、週あたり約2時間程度の合計トレーニング時間でした。
※詳細を知りたい方はリンクした論文フルテキストを御覧ください。
私見まとめ
今回ご紹介した論文では、高強度インターバルトレーニングに焦点を当てられているように感じましたが、
読み進めていくうちに「中強度(LT値付近)」のインターバルトレーニングの頻度に焦点を当てているのだな。ということに気づきました。
他には、被験者数が少なかったり、実験期間中の高強度インターバルトレーニングの詳細が述べられていなかったりと、分からなかった点もいくつかありましたが、
トレーニング現場にいる人間として、とても実感値に近い「論文結論」でありました。個人的に納得感も強いです。
一方で、私個人的に「再認識させられたな〜」と感じた点がありました。
トレーニング頻度を減らすことで「1回あたりの量」は相対的に増える(増やす)という点。
ここはキチンと利点を認識せねば。と感じました。
※オンライン・コミュニティ会員さんが集うクローズな場で私見を述べます。
学生時代は、週に8回も9回も、毎回(量も質も)高く設定した練習をやっていた人が、
社会人になって限られた時間で練習回数も半減以下となったにも関わらずベストを出す。
このようなケースは多く見聞きします。というか近くの社会人選手で、記録を伸ばしている人の多くはそのパターン。
そういったケースの人を見て、周囲の人は「考えるチカラのおかげだね」と言うことが多いですが
単純にトレーニング頻度が減って、1回あたりの効果が高まったおかげかもしれません。
言いかえれば、適切な「休息」を取ることが出来ているからかもしれません。
結果を出すことを目指して練習するのは当然なのですが、
盲目的に一意専心になってしまうことよりも、
これからは多趣味なアスリートが活躍してくるかもしれませんね〜。
そのほうが、アスリート人生に区切りがついた後の「時間」がより色鮮やかになる気がします。
もちろん、1回の練習に対して必死に取り組まなきゃだけどね。きっと。