スプリントトレーニング【エネルギー回路】の回復

  • URLをコピーしました!

スプリントトレーニングを実施するときに、「レスト(休憩時間)」をどのように設定したらよいか?迷います。

スプリントの運動時間にもよるのではないかと考えていますが、何か指標となる研究はないかと調べたものを記事にしてみました。

今記事でご紹介する研究論文は、

エネルギー供給システムである「PCr(クレアチンリン酸)」について調査されたものとなります。

クレアチンリン酸系や解糖系などを忘れてしまった人はコチラの記事を(運動のエネルギー供給システムについて

本記事では、レスト(休憩時間)の設定によるトレーニングの効果を調査したものではありません。

日々のスプリントトレーニングメニュー作成時のご参考になれたら幸いです。

目次

論文紹介

論文題名:The Recovery of Repeated-Sprint Exercise Is Associated with PCr Resynthesis, while Muscle pH and EMG Amplitude Remain Depressed
著者:Alberto Mendez-Villanuevaら
公開日:2012年12月17日
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3524088/

論文結論

繰り返して本数を重ねるスプリント運動の回復には、クレアチンリン酸の回復が大切だよ

・繰り返しのスプリント運動(6秒全力×10回:30秒間隔)は、回数を重ねるほどにパワー出力が低下した。

・パワー出力の回復(6秒全力×10回の後の6分休憩)と、筋肉内のクレアチンリン酸(PCr)再合成は相関関係にあった。

・パワー出力の回復(6秒全力×10回の後の6分休憩)と、pH・水素イオン(H+)とは相関関係が見られなかった。

 ⇨つまり筋疲労とpHは関係ないかも??(これ私見)

・パワー出力の回復(6秒全力×10回の後の6分休憩)と、EMG(筋電図)の値にも相関関係が見られなかった。

 ⇨6分休憩後のスプリント運動では、パワー出力は回復したが、EMGの値は回復が見られなかった。

論文内容

<実験参加者>

・8名の男性(平均年齢19.5歳)

・レクリエーションレベルの団体スポーツ選手

<実験手順>

・全部で6つのセッション(1セッションごとに48時間以上空けられました)

・セッション1〜4は準備トレーニング

・セッション5は、EMG測定(W-up⇨3分レスト⇨6秒全力×10回⇨6分レスト⇨6秒全力×5回)

・セッション6は、筋生検テスト(W-up⇨3分レスト⇨6秒全力×10回⇨6分レスト)


(6秒)スプリント後の「クレアチンリン酸(PCr)」の回復にかかる時間

6秒全力運動を1回したあとのクレアチンリン酸(PCr)濃度は運動前と比べて
(10秒後55%)
(30秒後69%)
(3分後90%)

6秒全力運動を5回したあと(1回ずつ30秒おき)のクレアチンリン酸(PCr)濃度は運動前と比べて
(10秒後27%)
(30秒後45%)
(3分後84%)

1997:B Dawsonら

※他にもホスホクレアチンの回復について書かれている研究論文ご存じの方は教えて下さいm(_ _)m


(30秒)スプリント後の2回目の(30秒)スプリント運動中のエネルギー供給システム稼働の割合

30秒の全力運動を1回したあと、4分休憩し、また30秒の全力運動をしました。

1回目の30秒全力運動と比べて、2回目の全力運動では約18%のトータルパワーが低下しました。

それに対して、エネルギー供給システムとしては、

1回目の30秒全力運動と比べて、2回目の全力運動では約45%の無酸素性エネルギー(解糖系)供給が低下しました。

約45%の無酸素性エネルギー(解糖系)供給の低下分は、有酸素性エネルギー供給が補うように働いたことが示されました。

1996:G C Bogdanisら


私見まとめ

今記事では、

「反復スプリント運動では、クレアチンリン酸の回復が大事だよ」

「スプリント出力の疲労からの回復は、筋肉のpH(ペーハー)とかじゃないかもよ」

という内容の論文を中心にご紹介しました。

6秒程度の全力運動だと、ホスファゲン(PCr)系でエネルギー供給が間に合っているようです。

その後の回復も30秒あれば、ある程度のPCr回復があることが分かりました。

しかし、

30秒の全力運動だと、1回目のパフォーマンスと比べて、(4分休憩後)2回目のパフォーマンスでは

「約45%」の解糖系エネルギー供給の低下が発生していました。

30秒の全力運動を複数回、同様のパフォーマンスレベルでやろうとしたら、4分レストでは足りないのかもしれません。

筋肥大効果に対して、筋トレのセットレスト時間を比較した研究を過去に紹介しています。
No.114 筋トレの【セット休憩時間】は短いほうが良い?


もちろん個人差はあるかと思いますが、

インターバル練習でのレスト(休憩時間)の調整が悩ましい日々です。

狙ったエネルギー回路をキッチリ鍛えたい。効率よくパフォーマンスアップしたい。。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!
目次