競技スポーツの指導者の皆さん、教えなくちゃいけない症候群に悩まされていませんか?
「教えること=ティーチング」「事実(結果)を伝えること=フィードバック」この2つをごちゃごちゃにせず、区別して使いこなしていきたいという決意表明的な内容となっております。
「フィードバックの正確性がパフォーマンスに与える影響」に関する研究論文を読んで連想したことを書きなぐっていきます。
「速い」「遅い」というフィードバックだけではダメなのか?
高尚な考えを持たれている指導者の方は、きっとこう言うだろう
「速いか遅いかを言うだけなら誰でも出来る。遅かった場合、どうやったら速くなるのかを教えるのが指導者だ」
ごもっともですね。
しかし、ここでは別の考え方も提案しておきたいと思います。
ティーチング(教える)とフィードバック(声かけ)は別物だと考えて実行する
「速い」「遅い」というフィードバックだけを言うという方法
泳いだ正確なタイムを読み上げた後、目標設定したタイムよりも速かったら「速い」。遅かったら「遅い」と言うだけ。ひとまずティーチング(教える)行為はしない。
言うときのポイントは3つ
(1)タイムは正確に読む
(2)どのような感情をこめてフィードバック(声かけ)するかは臨機応変に
(3)フィードバックした後、選手がそれぞれ振り返る余白(時間)を作る
何かを教えることがコーチの仕事だと思ってしまうと、相手の【考えるチャンス】を奪ってしまうこともあると感じています。
相手に聞いたり質問することで共に一緒に考えるスタイルもありだと思います。そういった「あなたを信頼しているよスタイル」も素敵です。
ティーチングとフィードバックの割合
当然ですが、どちらも同時進行だと思います。相手の年齢層や競技歴によって、割合は変化するものかと思います。
対象が初心者の方ほど、ティーチングの割合は増えそうです。
ティーチング(教える)によって新たな知識が増え、さらなる知識欲がムクムク湧き上がっていく。というケースもあるでしょう。
ちなみに私は教えたがりのティーチングスタイルに寄っていくので、選手クラス(特に成年選手)では、ただただ事実を正確にフィードバックするというスタイルを意識的に実行しようとしています。バランスよく人と接していきたいものです。
論文紹介
題名:Precision of verbal feedback affects accuracy of motor skill performance
著者:Mirosław Zalech , Zbigniew Bujak
公開日:2017年2月8日
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28181775/
論文内容
■男子学生88名(平均年齢21歳)が実験に参加。
■参加者は立ち幅跳びを50cm,75cm,100cmの3種類で跳ぶように指示された。
■ウォーミングアップ後、3種類の距離をそれぞれ3回ずつ計9回跳んだ。
■フィードバック方法は3種類
(1)「フィードバックなし」
(2)「抽象的な言葉(too far,too close,correct)」
(3)「具体的な結果(cm)」
論文結論
✅フィードバックの精度が高いほど、その後のパフォーマンス精度がより向上することが示唆された。
✅抽象的なフィードバックでもパフォーマンス精度の向上が見られた。